"地中海,クロアチア,パグ,pag"
真っ白に乾いたパグ島のオアシス
Pag
パグ
(パグ島 −クロアチア)♦

からびた白い島、パグ島。低木しか育たぬ厳しい自然環境の中、村落も疎らな大きな島に二つしかない町の一つがパグだ。
 フェリーでジグリェン(Žigljen)港に渡り、真っ白な大地をひた走ること約30kmで峠を越えると、眼下にパグ湾が広がり、一粒の真珠のようなパグの町が現れる。こんな厳しい土地にオアシスのような町を見つけて、思わずホッとする。(写真中段)
 町の奥の湾内を堰き止めて作られた広大な塩田が、一年中太陽が照りつけるパグの気候を暗示している。
 パグの町はダルマチア特有の真っ白な石でできている。強い日差しのもと、道も壁も真っ白で歩いていても眩しく、白色は熱を反射するので照り返しで暑い。目抜き通りに点在する淡い彩色の外壁が、オーストリア領時代に町が発展したことを物語っている。


 町の構造は、城壁に囲まれ、内部が方形の街区に区切られたクロアチアでは珍しい構造を取っているが、これはヴェネチア領時代に建設された新市街であるからだ。14-15世紀ごろ、この一帯はヴェネチアとハンガリーとの間で一進一退の攻防が続いた。それに巻き込まれた旧市街は焼け落ちて放棄され、町全体が今の場所に引っ越したのである。
 パグには二つの名産品がある。一つは、バラの花をデザインした繊細で美しい伝統の編み方によるレースで、通りを歩いていると、作ったレースを表に出した椅子に乗せて展示販売している光景を良く見かける。(写真下左)
 もう一つの名産は、パグチーズだ。クロアチアを代表するチーズの一つで、潮風を受けたパグ島の牧草で育った羊の乳から、豊かな味わいが生み出される。パグ島に限らずこの地域のレストランなら出されることが多いので、ぜひ試してみたい。