"地中海,フランス,ラングドック,カルカッソンヌ,carcassonne"
奇跡のように保存された中世城塞都市
Carcassonne
カルカッソンヌ
(フランス)♦♦
Centro
Storico

河岸の傾斜地に面した城は難攻不落だ

界遺産でもある南仏ルシヨン地方、ナルボンヌから約60キロ入った内陸都市カルカッソンヌは、中世の城塞都市がほぼ完全な形で保存されている。城壁内は一回りして1時間程度の手ごろな大きさだ。アラゴン王国との戦いの最前線として城は補強され、二重の城壁と堀とで防御を固めた強固な都市をして名をはせた。しかし17世紀にはいりフランスが大きく領土を広げると前線基地としての価値を失い、町は急速に衰退したが、1840年から始まった保存修復工事の結果として現在のような見事な姿が残されている。

城壁内への唯一の入口、ナルボンヌ門

 唯一の入口は今もって完全な構造を残すナルボンヌ門だ。2本の塔に守られ、内部も罠を含む複雑な構造を持つ門を潜り抜けるのは容易なことでなかったろう。8世紀、この門を巡ってカール大帝の5年に渡る包囲戦を守りきったウマイヤ朝ダマ・カルカスの像が置かれている。

土産物屋の色鮮やかなソレイアード









 城壁内は道から建物から全てが灰褐色の石の色一色だが、土産物屋の鮮やかなソレイアードやテーブルクロスが彩りを添え、レストランや菓子屋・食料品店が軒を連ねる様子に寂しい感じはしない。小さな町で、目立った建物は城と主教会としかないので、迷いながら進んでもすぐにどちらかに行き着く。

城はさらに堀で守られている

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世紀に築城された城は、城壁のうち川に面した最も険しい一角を組み込むように建てられている。入口は日本の高い塔と堀とに守られ、城壁内からさらにしっかりと隔離されているので、戦時には砦として平時には収容所として重用された。最近では1944年にドイツ軍が本営として使用している。内部は博物館として見学できるが、展示物にも増して城内の堅牢かつ複雑な構造には目を見張るものがある。

鮮やかに聖画が描かれたカテドラルのステンドグラス


 もう一つの大建築であるサン・ナゼール教会の方は、元々修道院の一部として作られたが、18世紀に修道院が滅びると重要性を失ってしまった。しかし内陣や花窓の素晴らしいステンドグラスやパイプオルガンの規模の大きさが当時を偲ばせる。

センスのよいテラスのあるレストランでは郷土料理が味わえる

ルカッソンヌはちょっとしたテーマパークのようだ。中世の建造物が現代建築が交じることなく純粋な状態で町ごと保存・修復されている。テーマパークであればもう一つの楽しみは食事とショッピングだ。城壁内の小道にテラスレストランが点在し、地元のチーズ、赤ワインやカスレなどの素朴な郷土料理を提供する。名産のソレイアードを始めとする土産物も、狭い地域に店が密集し競争が激しいだけに品質が高く、良質の品を入手したいならカルカッソンヌはお勧めだ。

どのチーズになさいますか?