仏のマリン・リゾートもいろいろだ。コートダジュールやプロヴァンスに世界的なリゾートが多いのとは対照的に、ラングドックにはフランス人が好む、華やかさはないがリーズナブルなリゾートが点在している。
　その一つグルイッサンは、ナルボンヌから約10kmの海岸にある町だ。ローマ時代にはすでに地域の中心都市であったナルボンヌの港湾都市として古くから発展したが、海運の重要性が下がった近代に入り衰退した。前世紀に入って、リゾートに活路を見出すことで、町は存続することができたのである。

　高台にある塔の廃墟を中心に円形に広がる古い漁師町に、近代的なリゾート都市が隣接し共存している。潟と海とに囲まれたこの町は、遠目に見るとさながら水上都市のようだ。
　ルイ14世の入り命で取り壊された塔の廃墟に登ると、水面に半円形にせり出した旧市街と、ヨットで埋め尽くされた近代的なマリーナの両方の景色が楽しめる。