"地中海,フランス,ラングドック,セート,sete"
運河が巡る海上都市
Sète
セート
(フランス)♦

河の都市はヴェネツィアばかりではない。ラングドック地方には湿地帯を埋め立てて築かれた町が多いが、なかでもセートは都市と言える規模を持つ随一の町だ。運河地帯の一角にある駅で降り立つと、いきなり駅前に運河が広がる光景に驚かされる。セートは、海とトー湖の間の砂州を核として広がっているが、中でもセート運河沿いの地区は


両岸に美しい町並みが並ぶ、市の中心部だ。ここでは夏の毎週末、水上槍試合が行われる。敵のボートの剣士を落としあう勇壮なゲームだ[写真中]。セートは漁港としても有名でもあり、魚料理店が軒を連ねる。特に生の魚貝類を中心に扱う店まであり、フランス中からグルメが集まってくる。

 19世紀から20世紀にかけて活躍した詩人ポール・ヴァレリーの生家を経て、急傾斜で海から聳え立つサン・クレール山へと車を進める。途中の展望台からは鳥瞰図のような見事な市街地の眺めが開け[写真下]、さらに山頂からはトー湖の全体像が姿を表す。海に伸びた砂州の上に建設された運河都市セートの有り様に改めて目を見張らされる。