"地中海,ギリシア,アテネ,athina,athens"
古代遺跡の上に復活した都市
Athína
Αθήνα
アテネ
(ギリシア)♦

外と新しい町だ、というのがアテネの第一印象だ。古代アテネのイメージを強く植え付けられているだけに、ヨーロッパの古都と比べていかにも近代的な都市であることに戸惑わされる。
 これは2004年のアテネオリンピックに伴う開発のためだけではない。そもそもアテネはローマ帝国に滅ぼされてから千数百年以上もの間、一地方都市に成り下がっていた。輝きを取り戻したのは、新生ギリシア王国の首都がナフプリオからアテネに移された1834年以来のことだ。そのため市街地の多くの建物が、今世紀かせいぜい前世紀のものとなっている。

 世界的に有名なパルテノン神殿に登ってみると、古代遺跡の破片を修復して何とか形を取り戻してはいるが、本物が持つ荘厳さはやや乏しい。アクロポリスはトルコ領時代には高台にある格好の軍事拠点として使われていた。そのため外国の攻撃を受け、神殿は無残にも崩壊してしまったためだ。
 それでも車がひしめく首都の喧騒を離れ、空中に浮かぶこの場所は、現代を一瞬忘れて古代の世界へと心を引き戻す舞台装置の役割をまだ保っている。
 アテネで見逃せないのは考古学博物館だ。歴史の国ギリシアの首都のことはあって、その所蔵品の質・量共にすばらしく、紀元前の千数百年におよぶ悠久の歴史を身を持って体験できる世界にまたとない場所だ。
 アテネの市街地で、唯一風情を残す地域として知られるのが、アクロポリスの北東側の麓に広がるプラカだ[写真左]。もともと落ち着いた住宅街であったが、その人間らしい町の造りが観光客を引き寄せ、今ではレストラン、土産物屋などの集まる観光地区となっている。
 時間があれば都心から数キロ離れたピレウス港にも行ってみたい。海の国ギリシアの玄関口は、エーゲ海のラフィナ港、イオニア海のパトラ港にかなりの航路を譲った今でも、島々への連絡船がひっきりなしに入出港する拠点して機能している。