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水の上のおとぎの街
Burano
ブラーノ
(ブラーノ島 −イタリア)♦♦
Centro
Storico

テーマパークのようなカラフルでかわいらしい町並み

運河は、島の暮らしに欠かせない生活道路だ

ェネチアへ行ったなら、ぜひ寄ってみたい街がある。それがブラーノだ。ヴェネチアの街外れにある小さな水上バス乗り場フォンダメンタ・ヌオーヴェ(Fondameta Nuove)から約40分のところにブラーノ島がある。ヴェネチアはかつての共和国の首都であり、いわばオフィス街やマンション群の街であるのに対し、ブラーノは漁民を中心とする普通の生活の場がある島なのだ。

 アドリア海の最深部、ヴェネチア湾一帯は、ラグーナ(潟)がいくつもあり、有人・無人合わせて実に多くの島々がある。ブラーノ島は、ヴェネチアと同じ潟に属する島の一つで、ヴェネチア市から約10キロ離れている。直径約500メートルと小さいが、有人島としては主なものの一つに数えられる。島内は運河で4つの地域に分かれており、さらに隣のマッツォルボ島と橋で繋がっている。



観光客の賑わいが絶えないバルダザーレ・ガルッピ通り

 下船して気がつくのは、街並がすべて人間のサイズに合わせて作られていることだ。島内の道路には自動車は走っていない。狭い石畳の道の両脇には、赤・青・黄・緑・紫・白など、2階ないしは3階建てのカラフルな家々が連なり、その間を小船が漸くすれ違うほどの狭い運河が縫うように走っている。運河には漁船が停泊し、両岸を円弧を描きながら木橋が結んでいる。建物が低いので陽光が行き届き、町じゅうがとても明るい。そのため18世紀の画家カナレットを始め、画家たちがこの風景を好んで題材にした。

レース編みが盛んで、通り沿いにたくさんの店が出ている

から島は、漁業と、大陸でとれた農産物のベネチア市内への運搬とで生計を立てていた。しかし島を有名にしているのは、16世紀に始まるレース編みの手工業だ。
 その名声は遠くフランスにも及び、彼地にブラーノ風のステッチを生み出している。観光客で溢れるカフェに混じって、数多くのレース店が開いている。少し前までは、どの家にもレース編みをする老女の姿が見られたものだ。

デザインには幾つかの基本パターンがある

 白いレース編み、刺繍した布などを始め、小物を並べている店も多く、値段も手ごろなので気軽にショッピングを楽しみながら散策できる。

 賑やかな通りをゆっくり歩いても10分弱で、レストランやカフェに囲まれた街の中心バルダザーレ・ガルッピ広場に到着する。街でただ一つの高い建物であるサン・マルティーノ教会、役場、レース編みの学校と博物館とがある。

島の裏手には緑地もある


 住宅街に入ると、それぞれの家は小さいながらも庭を持ち、所々に植え込みがある。緑の風景は土地の狭いヴェネチアにはなかったものだ。隅から隅までゆっくり回っても1〜2時間であり、道を失うこともない。ここには、大都市ヴェネチアとも、ビーチリゾートのリドとも違う、のんびりした島の生活がある。