"地中海,スペイン,アンダルシア,リネア,ラ・リネア・デ・ラ・コンセプシオン,la linea de la concepcion"
国境らしくない仮想国境の町
La Línea de la Concepión
ラ・リネア・デ・ラ・コンセプシオン
(スペイン)

やこしい町の名を日本語に訳すと、「仮想国境」市。
 1704年のスペイン継承戦争に敗れ、英国にジブラルタル市を占領されているスペインは、1870年に国境付近を一つの都市とし、ラ・リネア・デ・ラ・コンセプシオンと名づけた。
 一見、いかにも未練がましく、また当て付けがましく聞こえるが、1713年に締結されたユトレヒト条約の条項では、英国は領土としてジブラルタルの半島部全体を獲得したわけではなく、ジブラルタル市とその港湾施設の租借権を得たに過ぎない、よってジブラルタルは依然としてスペイン領であるとのことのようだ。
 そのためかリネアの街には、国境らしい雰囲気が全くと言っていいほど見当たらない。
 普通のスペイン海辺の町と同じく、海岸沿いに幹線道路が走り、マンションやスーパーがあり、ビーチを楽しむ人がいる。
 ジブラルタルの岩山を目にしながらその道を真っ直ぐ進み、最後の建物を過ぎた横断歩道を渡ると、その先にいきなりバリケードがある。そこから先が英国自治領だ。[写真]
 リネアからジブラルタルへの入国は、政治情勢に左右される部分もあろうが、通常はパスポートを提示し所定の手続きを受ければ、徒歩ですぐに入国できる(2000年現在)。