"地中海,レストラン,イタリア,カラブリア,メリト・ディ・ポルト・サルヴォ,カジーナ・デイ・ミッレ,Melito di Porto Salvo,Casina dei Mille"
半島先端部にひっそりと息づくスローフードの一軒家
Casina dei Mille
カジーナ・デイ・ミッレ
(メリト・ディ・ポルト・サルヴォ −イタリア)♦
イタリア統一戦争のモニュメント

   小さな高みの上の一軒家

辺の小村アナの外れの小さな高みに、カラブリアでも辺鄙な半島先端部の地域としては立派な部類に入る小さな白い館がある。国道に立った目印の大きい看板に従い敷地に入ると程なく建物の前に出る。

国道沿いの目印

入口脇のモニュメント

建国の英雄ガリバルディの肖像




建物の戦跡

 ここはレストランである以前にまず、イタリア史を語る上でも貴重な史跡でもある。カジーナ・デイ・ミッレ(1000人の小さな家)とは、ガリバルディの「千人隊」にちなんだ名前であろう。僅か千人の義勇兵を率いてナポリ王国を滅ぼし、初代イタリア王ヴットリオ・エマヌエーレ2世に献上した、建国の英雄のことである。

あるじのアントニオ・ロメオ


 館の入口脇の文字が刻まれた石のプレート、そして建物の向かって右上にある直径30p以上はある大きな穴。主(あるじ)のアントニオ・ロメオによれば、イタリア統一の第二幕である1862年、ガリバルディがローマ奪還を目指してシチリアからイタリア本土に再上陸した8月14日の上陸作戦で開けられた砲弾の跡だというのだ。


素朴でボリューム満点の手作り料理

  店内は外部と繋がっていて、農家のようなホッとする空間だ

物に入ったところは天井高いホールのような広々とした空間になっており、ここがメインダイニングだ。夏であれば、テーブルの列は反対側の中庭のテラスにまで伸び、オープンエアでの気持ちよい食卓も提供してくれる。
 スローフード協会認定店でもあるここの料理は、飾り気がないが手が込んだカラブリアの伝統料理ばかりだ。険しいアスプロモンテ山地の麓だけあって、海が目の前であるが山の食材の比率が高い。まずは、ブルスケッタでスタートするが、量が多いのでペース配分に気をつけたい。

  水牛のモッツァレラと手作りリコッタは、どちらもこの上なくフレッシュ

 前菜には、手作りの生ハム・サラミが数種類。続いては、新鮮な水牛の乳から手作りならではの食べやすい一口サイズにちぎって作ったモッツァレラ・ディ・ブファッラ、さらに、羊のホエーから作ったあっさりしたリコッタチーズが、水切り用の小さな籐の籠のまま出される。
 パスタは自家製のマッカルーニがお勧めだ。うどんのような太めでコシのあるパスタだ。ここまで食べれば、もうかなりの満足感だ。

  自家製の生ハムやサラミなどがテーブルいっぱいに並べられる


  自家製マッカルーニ

 料理もまた、カジキマグロのソテー、子羊の炭火焼などいたってシンプルだ。余力があれば、最高の材料で作ったリコッタのタルトにトライしたい。
 手作りの温かみのあるおいしい料理でおなかがいっぱいになっても、アナには気のきいた宿はない。わずか7室ではあるが、ホテルとして宿泊も可能なので、朝までゆっくりしていくのも良い。質素だが、水平線の向こうに遥かシチリアを望む広い部屋だ。

Casina dei Mille(カジーナ・デイ・ミッレ),
Statale Jionica 106, Localita Annà, Mèlito di Porto Salvo (RC), Italia., (-->地図33
Tel: +39 0965 787434,
店舗URL:
紹介URL:
営業時間: 昼、夜
休日: 年末, 夜は日休
カード可,
カラブリアの州都レッジョ・ディ・カラブリアから国道をMèlito di Porto Salvo(メリト・ディ・ポルト・サルヴォ)方面へ約24キロ。メリト・ディ・ポルト・サルヴォの2キロほど手前の小村落Annà(アナ)にある。国道沿いの山側(進行方向左側)にある白い館。小さい村で国道沿いには建物も少ないので、すぐわかる。

2005.11.27掲載