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チンクエテッレの5つの村で一番のリストランテ
Ripa del Sole
リーパ・デル・ソーレ
(リオマッジョーレ −イタリア)♦♦
太陽(ソーレ)の断崖(リーパ)

黄昏のテラス席で、海と街の灯を眺めながらの食事を

岸線まで山が迫る絵のような5つの漁村、チンクエテッレは、今や観光客が押しかける大観光地になった。
 その魅力は、あえて開発を拒否し、昔ながらのワイン作りと漁業の暮らしを頑なに守る素朴な村々の佇まいにあることは間違いない。
 それぞれの村には、豪快な漁師の料理、またぬくもりの感じられる家庭料理を出す魅力的な食堂に事欠かない。



店の前には、深く切れ込んだ谷を覆うリオマッジョーレの村と海の風景

 また郊外の山中まで足を伸ばすと、イル・チリエージョ(Il Ciliegio)、カップン・マーグル・イン・カーサ・ディ・マリン(Cappun Magru in Casa di Marin)など、ぜひお勧めしたい名の通った店があるが、シーズン中は予約が必須である上、足の確保がなかなか難しい。
 ここで紹介するのは、村内の歩いて行ける距離にありながら、文句なく素晴らしい気の利いたリストランテだ。

海の幸の盛り合わせは、新鮮なので生ものが多い

 チンクエテッレの一番東側(ラ・スペッツィアから出発して一つ目)の村、リオマッジョーレは、ブドウ畑に覆われた急峻な斜面に張り付くような、高低差の大きいこの地域の典型的な村だ。
 村の最上部の海に突き出た岩の上に、12世紀の小さな城(カステッロ)がある。眺めの良いこの地点からほど近い、集落最上部の山の斜面にあるのが、リーパ・デル・ソーレだ。

ハウスワインは軽い発泡性で、魚介類によくあう


 魚とワインから成る伝統的なチンクエテッレの料理を、他の食堂より少しだけ見た目と味にこだわって出してくれる。
 入口に張られたスローフード協会の認定シールは伊達ではない。
 昔からの土地の料理もあれば、シェフの独創から生まれたオリジナル料理もあり、お客の好みに応じて選ぶことが出来る。
 小さな村のリストランテなので、形式ばった感じはない、アットホームな雰囲気だ。


海に開けたテラスで、確かな技術と素材の魚料理を

スペシアリテの魚のラビオリ、エビとズッキーニソース仕立て。
彩りだけでなく、素材、食感も完璧。

ってすぐの海に開けたテラスは、立体感ある眺めが素晴らしい。
 手前には、サン・ジョヴァンニ聖堂の鐘楼とカステッロの時計台、その後ろの険しい緑の山を削って流れ込む谷に密集するリオマッジョーレの村落越しに、チンクエテッレの青々とした海原が広がっている。
 夏の夕方、正面の谷に夕日が差し込み家々がオレンジ色に輝くころ、予約したテラスの海側の席についた。
 チンクエテッレは、甘いデザートワインのシャケトラで有名だが、DOC(認定銘柄)に指定されている白ワインも特徴がある。


ヤリイカのトリポリーナ。味も食感も軽い、食べやすい一品。


 この地域には、緩やかな土地が少ない。陽当りがよいが、作業が難しいほどの急斜面で育ったブドウは、斜面に沿ってモノレールを使って収穫される。
 チンクエテッレのDOCは、畑により標高差、日照差、品種差(40%がBosco、残りがvermentino、albarola)があり、そのため生産者の個性が強く出る。全体的には、アンチョビや貝などの魚介類によくあう、甘めでさっぱりとしたワインだ。

太陽の反射光からライトの光に光源が変わり、風景も違った印象。

 前菜のお勧めは、有名なモンテロッソのアッチューゲ(アンチョビ)だ。日本で売られている瓶詰めとは全く違い、新鮮なまま軽くビネガーとオイルに漬けたもので、酢締めのようなものだ。ほのかに残る生の香りと食感がたまらない。
 海の前菜盛り合わせで頼むと、カルパッチョ、タコ、白身魚のすり身、白身魚のマリネ、ムール貝の合わせて味わうことが出来る。素材の風味を活かしながら臭みを消して程よく味をのせた、繊細な味わいだ。
 いくらでも食べたくなるおいしさだが、次の皿へと進まなくてはいけない。

鮮魚のオーブン焼き。シンプルな料理だけに、シェフの腕が冴える。

 アッチューゲのトレネッテ、貝のスパゲッティ、トロフィエのペスト(ジェノヴァ風バジルソース)和えなどの地元のレシピもよいが、オリジナルレシピの魚のラビオリ、エビとズッキーニソース仕立ては素晴らしい一皿だ。手打ちの食感と素材の風味がミックスして、五感を満足させてくれる。
 メインは一番確実に旨いのが、魚のオーブン焼きだ。チンクエテッレで取れた活きのいい魚を、コクのあるタジャスカ産オリーブと一緒にシンプルに焼いたものだ。
 単純な料理だが、素材と技術でこれほど美味しくなるものかと、驚くこと間違いない。
 もちろん、干ダラのブリッダ(リグリア風魚のスープ)、カップン・マーグロ(魚と野菜のサラダ、リグリア風)などの有名な地方料理も揃っている。


クリームブリュレも自家製。

チョコレートケーキ

 デザートの頃には、小さな村はすっかり闇に包まれている。自家製のクリームブリュレ、チョコレートケーキなどを、有名なデザートワイン、シャケトラといただくのが良いだろう。

Ripa del Sole(リーパ・デル・ソーレ),
Via de Gasperi, 282, 19017 Riomaggiore (SP)
ITALY., (-->地図57
Tel/Fax: +39 0187 920143,
店舗URL: http://www.ripadelsole.it,
紹介URL:
営業時間: ,
休日: 月曜
カード可,
国鉄リオマッジョーレ駅は、集落から山一つ越えたところにある。駅を降りてすぐ、城(カステッロ)の近くまで上がる有料エレベーター利用が便利。城から、集落を見下ろしながら山の斜面を2〜3分歩いた左側。または、駅から村へと続く歩行者専用トンネルでいったん村の中心部へ抜け、そこからカステッロ行きの路線バス利用も可能。中心街から斜面を登る急な階段を行ってもよい(駅から徒歩15分)。

2008.3.22掲載