"地中海,チュニジア,クサル・ウラード・ドゥバーブ,ウレド・デバブ,ウレドデバブ,クサール,ksar ouled debbab"
大規模なクサールの町並みがそのまま保存
Ksar Ouled Debbab
ﻗﺼﺮﺃﻮﻻﺪ ﺪﺑﺎﺐ
クサル・ウラード・ドゥバーブ
(チュニジア)♦
廃墟となったクサールの村がそのまま残されている

サールは、伝統的なベルベル人の村の姿で、ゴルファと呼ばれる石を組んで作ったかまぼこ型の家を連ねたものである。倉庫としても住居としても、また時には砦のような役割も果たしていた。
 古い村には今でも必ずクサールが見られるが、チュニジア南部の都市タターウィンから目と鼻の先にある立派なたたずまいを見せているのが、クサル・ウラード・ドゥバーブ(フランス語でクサール・ウレド・デバブ)だ。

かつては賑やかな市が開かれていたであろう長細い広場の両側に連なるクサール

内部は意外と奥行きがあり、ひんやりしている
 タターウィン市内からレマダ方面へ国道を南下し僅か数キロ、左手の丘陵地帯の丘の上に、何か山頂の城壁であるかのように現れる。
 廃村となり荒れ果てていたウラード・ドゥバーブは、最近保存・整備の手が入り、気軽に見学できるようになった。入口付近は丘の上から赤茶けた大平原を見渡せる、絶好の展望台になっていて、エスニックな基調の洒落たカフェになっている。入場料を支払い、併設の博物館を通って、ウラード・ドゥバーブに入っていく。

カフェのテラスで飲む暖かいミントティー
 真中が長細い広場のようであり道のようなでもある空間になっており、両側に延々とゴルファが連なりクサールを形成している。その長さは200メートル以上はあろうか、ちょっとした町並みだ。
 一つ一つのゴルファは長細い12畳程度の広さで、中に入るとひんやりとした土の香りがしてくる。2階へ繋がる外階段は、地中海地域の共通様式だ。小さな窓から茶色いうねった大地を、100年前の住人はどんな気持ちで眺めていたのだろうか。

 帰りがけにカフェによって見る。日陰に腰掛けると、思いのほか涼しい風が吹いてくるので、温かいミントティーがおいしく感じられた。


※2005年8月現在、整備が進行中(入場は可能)のため、最新保存状況は不明