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参拝者で賑わうキプロス最大の巡礼地
Kýkkos Monastery
Μονής Κύκκου
キッコー修道院
(キプロス)♦
煌びやかなモザイクに覆われた回廊脇の入口


 修道院と言うと厳粛な雰囲気かと思うが、行ってみるとその賑やさに拍子抜けするほどだ。周囲を巡礼者のための宿泊所が取り巻き、さらにそれを囲むように土産物屋からタヴェルナまでが並び、ごく普通の老若男女で溢れている。まるで市場が町から引っ越してきたような有様だ。日本でいえば、さしずめ初詣といったところだろうか。

拝に行くといえば、キプロス人で正教徒であれば、霊験あらたかな高山の深い森の中にあるキッコー修道院(世界的にはギリシア語に準じた「キッコス」と呼ばれることのほうが多い)ではないだろうか。
 キッコー修道院はどの主な町からも遠く、曲がりくねったトロードスの山道をたっぷり1時間はかけて走った、標高約1000メートルの杉林の中に佇んでいる。

改築されて綺麗な聖堂や回廊

4天使に守られた礼拝堂の入口。大理石部分にのみ昔日の面影が見られる。

 11世紀にビサンティン王によって建立された当時の様とは違って、車で気軽に訪れた市民や観光バスの団体客が次々に押しかけ、門前はすっかり俗化されている。
 そうは言っても、そこはキプロスを代表する修道院、男女とも肌が露出した服では入れないので、必要なら門前の貸衣装屋で服を借りて入場する。

回廊の壁という壁は、全て聖書をエピソードを表現した見事な聖画のモザイクで覆われている

 中庭に入ると、煌びやかな装飾が目を引き、見た目には長い歴史が感じられない。
 現存する建物の一番古い部分ですら、19世紀のものであるからだ。

門前に店が立ち並び賑やかなのは、日本の有名社寺と変わらない
 しかし回廊や建物の壁という壁は、聖書のいろいろな場面を表現した、見事なモザイクで覆われているので、宗教に興味があるならひとつひとつ見ていくだけでも十分見ごたえがある。
 なお修道院の創立以来の貴重な遺産は、併設の美術館に収められているので、ぜひ寄って行きたい。