地中海にも魚を生で食べる地方があるというのは本当ですか?

 本当です。「地中海生活」でわかっている範囲で言うなら、イタリアのシチリアでは、えび、マグロは生でも食べます。もちろん火を通すことのほうが多いのは確かですが。またうにもほとんど生で、タコも茹でただけでも食べます。イタリア南部のプーリャでもタコ、イカなどが生でも食べられています。
 魚のほか、エビ、イカ、タコ、貝類などは、ほとんどの地中海沿岸地域で食べられていますが、食べられているのは港町のみで、海が見えないくらいのところへ行くともう肉だけになることもあるようです。

 魚介類については、日本人だけが生で食べるともいわれることもありますが、北方系ヨーロッパ人が生魚を食べないことからの類推で言われているものと思われます。ちなみに最近では日本食が健康に良いことが知られてきており、すし屋で生を食べることは欧米でも珍しくなくなってきているようです。

 またヨーロッパでは伝統的な生活が重視されるため、シチリアと違って逆に元来新鮮な魚が手に入らなかった地方では、いまでも魚はあまり食べない様です。中部イタリアのトーディという大きな町の中央部にある立派なレストランでさえ、魚料理は一品もありませんでした。海まで車で2時間もあれば十分行ける距離であるのに、昔ながらに魚を一切食べない頑固さに驚かされました。