城壁に守られた古い町に入ると、そこは白一色の世界です。まったく観光化されていないこの村の小道を歩いていると、どこか異次元の世界に迷い込んだ気さえしてきます。

　小さな町の割には数多くあちこちに見られる教会が、風景のアクセントになっています。

　道端には地酒の濁ったワインを売る老人が佇み、とてものんびりした雰囲気です。脇の路地を何気なくのぞいたとき、不意にロバが通り過ぎ、はっとしました。

　扉の先に見えるのは、芸術的なカーブを描いて二階まで続く外階段。地中海ギリシア独特の様式です。

小広場を抜けて、オリーブの木の下の階段の向こうに見える小さな扉をくぐれば、そこは城内です。

　小高い丘の上にある町の中心に近づくにつれ、眺望が開け、

　現在、発掘が進められている城は、こわれて跡形もありません。

　しかし、その傍らから見るピルゴスの村は美しく、

そしてフィラや、遠くイアの町まで、島の全体を見渡すことができます。

　遠くに小高く見えるのがこれから行くイメロヴィグリ、また今朝出てきたフィロステファニは、そのすぐ手前の中腹に当たります。