「地中海生活」 2001年 春号 ( 2月12日発行 通算第21号 ) P.3
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 小さなカレ(旧名デムレ)の町のはずれのこじんまりとした案内板で、ここが聖ニコウラスが司教を務め、その遺骸が祀られていた教会跡であることがわかります。

 アンタルヤから地中海沿いに南西へ車を進めていくと、いつしか道は細くなり対向車もほとんどこなくなりました。
 複雑な海岸線を縫うよう進むたびに現れる海の青さに、はるかオリエントまで来たことを実感します。


Top; near Finike
Bottom; St. Nicolaus chirch, Kale



 現在では、鮮やかであったフレスコ画の名残がまだかすかに見て取れます。

 入り口近くに、蓋が壊れて中が空になった、立派な彫刻を施した聖ニコラウスの石の棺が見られます。

 外の眩しく乾ききった真っ白な世界と、ドーム内部の暗闇。この対比が空間の神々しさを演出しています。

 現代にまで語り継がれる4世紀の偉人に思いをはせながら、このドームを跡にしました。

 この教会は、セルジュク・トルコの進出後すぐに廃墟となり、一時再建されましたが今世紀のギリシア・トルコ戦争以後完全に破壊されました。

 11世紀に持ち出された遺体は、現在イタリアのバーリ市の守護聖人として彼の地に安置され、残された一部の指の骨がアンタルヤの博物館に展示されています。


Top; Aya Nicola Kilisesi, Kale
The second; Aya Nicola Kilisesi, Kale
The third; Aya Nicola Kilisesi, Kale
Bottom; Aya Nicola Kilisesi, Kale

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