人 口千人余りの半分廃墟のような町が、海岸の小さな砂洲の上にある。これこそがローマ時代から栄え、中世クロアチア王国の首都であったニンだ。
1771年に訪れたイタリア人旅行家フォルティスが、その荒れ様を嘆いたように、ヴェネチアとトルコの戦いの中で荒廃し、ついにその輝きを取り戻すことはなかった。
陸地から僅かに離れた小さな島上の町に車は入ることが出来ない。石橋を渡って小さな城門をくぐると、中世の町並みが続く。
クロアチア文化揺籃の地ともいえるニンには司教座が置かれ、10世紀の有名なグルグル(Grgur)司教を中心に国をまとめた。グラゴール文字によりクロアチア文化を形にし、この地から、数々の王を輩出した。
クロアチアで最古の、800年頃に立てられた真っ白な十字架型のスヴェティ・クリジュ(Sv.Kri)教会[写真下]が、そのシンボルとして姿をとどめている。
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