サ ンフロランからコルス岬を北に向かうと、海岸線は険しい崖になり道路は山腹を縫って進むようになる。細い車道を進んでいくとやがて山間の巨岩の上に家々が寄り集まった小さな村が現れる。それがノンザだ。
屋根瓦の代わりに平たい石が使われているのがいかにも山村らしい。小さな旧市街に門をくぐって入っていく。一番高いところには緑色の石で立てられた塔があり、そこからみる何一つない真っ青な海岸の眺めは見事だ。海岸へは600段の長い階段を降りていく。
この美しい風景の中には、さまざまな歴史が隠されている。海岸には、ここで殉教した5世紀のコルシカの聖人セント・ジュリエ(sainte Julie)の切り取られた胸から湧き出たといわれる泉が祭られている。また黒っぽい砂の色は、近くのアスベスト鉱山の汚染によるものだ。
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