さなコートダジュールの村を訪ねたいが、観光客が少なく鄙びた感じはいやだ。そう思うなら、トゥレットがちょうど良い。
　隣のヴァール県にも同名の小村があるので、こちらはシュル・ルー（ルー川の）をつけて区別される。
　ニースから近く、気軽に日帰りできる。田舎らしい長閑な雰囲気と、バカンス気分とが溶け合った、お洒落な旅のエクスカーションに最適だ。
　トゥレットは、海からせり上がる石灰岩の山地の、南斜面の小さな尾根に乗るように作られた小さな村で、ひとたび城門をくぐると素朴な石積みをピンクや蜂蜜色の壁材で塗り上げた、可愛らしい迷路が展開し、思わず歓声を上げたくなる。

　歩いても10分で一回りできる距離だが、素朴でいておしゃれなショップが村内に点在するので、一軒一軒のぞいて回るのも楽しい。
　村の南端の城門を出てみると、眼下の森を切り刻むルー川の渓谷と、はるか彼方の地中海の眺めに目を見張る。
　近くには、名物のスミレアイスが食べられるショップがあり、暑い夏の日のオアシスだ。3月の有名なスミレ祭りに因んだものだ。