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4000年以上栄えたクレタ島の古都
Chaniá
Χανιά
ハニア
(クレタ島 −ギリシア)♦♦
Centro
Storico

旧港を囲む水辺にはカフェやレストランが並ぶ

中海でも有数の美しい港町としてハニアをあげたい。
 ヴェネチア領時代の旧港や周辺の街並みがよく残され、今でも活気に溢れている。往時と変わらぬであろう風情が感じられる。
 現存する絵画的な町の素晴らしさは言うまでもないが、これほどの長い歴史を持つ都市もそうはない。
 カステリ地区と呼ばれる中心部の小高い丘の辺りは、初期ミノア文明の紀元前29-22世紀には既に、この地方の主要都市の一つであったと見られている。当時「キドニア」と呼ばれ、クノッソスとしのぎを削る関係だったらしい。
 ローマ時代、ビサンチン時代、ベネチア、トルコ、ギリシアと時代は変われど繁栄は続き、1971年にイラクリオに取って代わられるまで、クレタ島の首都であり続けた。

ベネチア共和国時代の風情が漂う、ギリシア有数の美しいヴェネチアンポート


在の町は、13世紀以来のベネチア共和国時代に作られたものだ。数百メートルの長い堤防が海をふさぎ、西側に唯一の港への入口がある。港はカステリ地区の丘による膨らみで二つの部分に分けられている。

夕暮れの港は恰好のプロムナード

 奥の方は旧港と呼ばれ、今は漁港になっているので、近くの海沿いには魚を出すレストランが軒を連ねている。
 一方、入口側はヴェネチアンポートと呼ばれる、ヴェネチアを再現したような美しい街並みだ。
 港はマリーナになっており、周囲を観光用のカフェやレストランが埋め尽くす。
 港の入口に近い博物館から、岸壁に沿って歩いていけば、リゾート気分を満喫だ。

旧市街のアゴラ(市場)。一歩入れば市民の生活の場。

 カステリ地区は、ヴェネチア時代には軍や行政の中心であったため、石組みの大規模建物が多く、一部は現在ホールとして使われている。その下にあるトルコ時代のモスクは、苦難の歴史を伝える数少ない遺物だ。
 城壁内の旧市街は、裏通りを歩くのも面白い。細い路地に4〜5階建ての高層の建物が並び、昼なお暗い印象だが、市民の生活の場として海沿いの観光エリアとは全く別の顔を見せる。

路地裏には、地元市民向けのおいしい店が点在する





 城壁に沿った古い路地には、観光客向けではないヤギや羊、クレタのチーズ、野菜類を使った本格的なギリシア料理を出すレストランやタヴェルナが点在し、目抜き通りに近い市場や商店では、普通のギリシア人の生活必需品が売られている。



旧市街の小さな博物館には、ミノア文明の貴重な発掘品が目白押し

フランチェスコ教会の一部にある、考古学博物館にも立ち寄ってみたい。
 ミノア文明以来の貴重な展示品は、数はともかく質では国立博物館に引けを取らない。
 このクラスの文化遺産が、地方都市の小さな博物館に無造作に展示されていることに、ギリシアの奥深さを感じずにはいられない。


 島の首都機能はイラクリオに移ったが、古都ハニアの魅力は輝きを失うことはなく、受け継がれている。