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絶景の世界的リゾート
Fíra(Thíra)
Φήρα(Θήρα)
フィラ(ティラ)
(サントリーニ島 −ギリシア)♦♦
Centro
Storico

崖沿いに町並みが続く光景は、地上のものとは思えないほど

界的な観光地となったサントリーニ島。20年前には田舎町だった島の中心フィラは、今やシーズン中ともなれば喧騒の真っ只中だ。
 それでも旅人を惹きつけてやまない、比類なき大パノラマと快適なリゾートライフとがここにある。
 フィラは、火山が海に陥没してできたサントリーニ島の、火口の縁の尖った部分に、今では海となったかつての深い噴火口を覗き込む位置にある奇跡のような町だ。

高さ300メートル以上の斜面からこぼれ落ちそうな町並み

 崖っ淵の絶景の直線上に、ショップやタヴェルナなどのリゾート客向けのお洒落な店がならび、その背後の緩やかな斜面にはバスターミナルや、旅行会社、バジェットクラスの店、その奥には市街地が広がる。
 一方崖っ淵から下った急傾斜上に、隠れ家のような絶景のホテルや個人のヴィラが点在している。

どこをとっても、白と青のコントラストが美しい

 町を楽しむのに、地図も必要なければ、決まった見所も特にない。とにかく崖に沿った一帯を歩き回るだけだ。車が入れない路地の、どこから見ても違った風景が展開し、飽きることがない。
 また都会にあってもおかしくないような垢抜けたショップでは、島に住みついた芸術家たちの素晴らしい作品がリーズナブルに入手できる。それを見て回るのも楽しみの一つだ。

崖に面したテラスのあるカフェ

に一本入ると、土産物、ギロ(ギリシア風ファーストフード)、食堂などの店が並び、バックパッカーや地元民の生活の場になるのが面白い。
 雑然としたこの一帯では、普段着や食料の現地調達用の店、皮職人がその場で作って販売しているサンダル屋などを回っても面白い。

古くからある市街地の食堂、ニコラウスで安くて美味い伝統料理を




 また名物タヴェルナ「ニコラウス」があるのもこの辺だ。1987年シーズンオフの訪問時には、ただ一軒やっている食堂だったが、いまや町を代表する安くて美味い食堂として大盛況だ。

はるか下の港まで続くつづら折の階段

百メートル下の港へと、一本のつづら折の道が延々と続いている。水深が深く、地形の関係で波も静かな港は、たいした港湾設備もないのに大型クルーズ船が入ることができる。
 またネア・カメニ、ティラシアなどの火山島ツアーの船が出るのもこの港だ。
 沢山の乗船客を運ぶため、今ではゴンドラも運行されているが、昔ながらに自分の足で、またはロバにまたがり移動するのも一興だ。


車の入れない旧市街の輸送手段はロバ

 港までの坂道をピストン輸送するため、沢山のロバが働いており、その様は壮観と言ってよいほどだ。
 ロバは港だけでなく、車の入れない一帯への、建築資材等の荷運びに重宝されている。

クルーズ船は崖の下に接岸し、乗客ははしけで上陸する



 シー・ビュー(海の見える)の部屋を希望するなら、ホテル選びは念入りに行いたい。この町の崖沿いの絶景地帯は、個人の別荘か、営業用のレストランなどで占められており、ホテルは極めて少ない。シーズン中は、よほど前もって長期宿泊の予約を入れるのでなければ、取れないだろう。
 フィラと同じ地形にある隣町のフィロステファニ(Firostefáni/Φηροστεφάνι)、さらにその隣のイメロヴィグリ(Imerovígli/Ημεροβίγλι)あたりであれば、若干の可能性があるかもしれない。その場合も、法外な部屋代を覚悟しておいたほうが良いだろう。

夕陽に照らされたテラスで、島特産のアシル
ティコ種の力強い白ワインを

 崖は西向きなので、夕日の美しさは格別だ。
 ブドウ色に染まる静かな水面に、多島海のように黒い島影が浮かび上がる。時おり横切る大型クルーズ船が、青白い光を放ちながら、色紙のような水面に一條の切り込みを描いていく。
 崖沿いの通りから僅かに下った一帯は、レストラン、カフェ、タヴェルナが占領している。

ショッピング、レストラン、バーと充実したナイトライフ






 その時間、遮るものがない展望を欲しいままにするテラスで、ワイングラスを手に新鮮な魚料理を味わうというのは、最高の贅沢だ。
 特に夏の遅い夕日が沈むとき、青から黄、赤、紫、そして暗黒へと、刻々と変化する海を眺めながらのディナーは、忘れがたい思い出となるだろう。
 ただしこの一帯のレストランは、お値段も都会並だ。
 食事の後も日付が変わらぬうちは、カフェやショッピングなど、まだまだ存分に楽しめる。近くの町に泊まったとしても、終バスが遅くまであるので心配ない。