国当時のギリシアの首都は、ナフプリオであった(古代名「ナフプリオン」と呼ばれることも多い)。
現在のナフプリオの姿は、2回目のベネチア領時代の1686〜1715年に形作られた。アルゴリア湾に長く突き出した岩山の上にあった古代のアクロポリスの場所が要塞となっていたが、守りをさらに強固にするため背後の高さ216メートルの丘の上にパラミディ要塞を建築した。町からの857段の石段を登る道に加え、今では車で行くこともできる。 要塞の大きさは半端ではない。純粋な軍事施設であるにもかかわらず、旧市街がすっぽり入るほどの面積があり、丘の稜線を覆うように配置された8つの要塞の複合体として設計されている。それぞれは迷路のように複雑に繋がっており、現代の観光客もまた出口を見つけられず右往左往するほどだ。町からの入口は一つだけ、階段が続く狭く長い道のりで、幾重にも防御が張り巡らされている。町を威圧するかのように睨みを利かせている。
市街の見所は、岬の先端のほうに集中している。岬の南側はアクロナフプリア要塞の高みになっており崖となって海に落ち込み、一方北側の斜面は緩やかに海へと続く市街地になっている。先端部の海岸沿い、アクティ・ミアウリ通りはプロムナードになっていて、カフェのテーブルが並ぶ落ち着いた一帯だ。その一角からブルジ島(Bourtzi/Μπούρτζι)への渡し舟が出ている。専用の乗船場やスケジュールはないようなので、それらしい船を捜して尋ねてみるとよい。
できればゆっくりしていきたいが、無人の島に長居するわけにも行かず、渡し舟の船主が指定した時刻に遅れぬよう船に戻り、町へと引き返す。
岸のプロムナードを進んで途切れるあたりを少し山側に入ると無料のエレベータがあるので、それに乗ってアクロ・ナフプリアの城塞に上がる。
町の中心は市民のいこいの場でもある、大きな長方形のシンタグマ広場だ。旧ヴェネチア軍施設(現在は博物館)、旧モスクなどの主要な建物が囲んでいる。 そこからアギオス・ゲオルギオス教会へ向かって伸びるスタイコプル通り(Staikopoulou/Σταϊκοπούλου)が一番の繁華街だ。
市民が必要なものは、買物から食事まですべてここで揃う。観光客にとっても土産物選びや、地元民が通う美味しいレストランを見つけるのに大いに役に立つ。
夏の日が傾き始める夜8時頃には、タベルナの席を確保したい。食事が終わった頃、人通りはますます激しくなり、あちこちに陣取った大道芸の人だかりが、それに拍車をかける。
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