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手つかずに残された白い旧市街
Paroikiá
Παροικιά
パリキア
(パロス島 −ギリシア)♦

クラデス諸島の入り組んだ白い旧市街は、この地を訪れる旅行客にとって大きな魅力の一つだ。
 主要な島では観光開発が進み、旧市街が綺麗にリフォームされ、観光客向けのショップやカフェが並ぶ光景がどこでも見られるようになってきた。
 パロス島の中心地パリキアは、エーゲ海を巡る船の多くが寄港する、海の銀座のような位置にある。そのためキクラデスでも最大クラスの町の一つとなり、新市街が爆発的に拡大した。一種のドーナツ化現象だ。
 しかしそのため狭く小さい旧市街が忘れられたように、奇跡的に昔の姿を残している。

 港周辺は、シーズンともなれば人と車が行き交い、ちょっとした都会のようだ。大きなフェリー埠頭の岸壁に沿って、まるでアラブのスークのような渾然とした繁華街が形成されている。この一帯の店でのショッピングも、町の一つの楽しみだ。
 それに隣接した、まるでメディナの門のようなトンネル状の通路を抜けると、とたんに別世界に迷い込む。

  そこは静寂が支配する幻想的な白い世界[写真下]。緩やかな丘の斜面に古びた白い家々と、迷路のような路地、路上まで張り出した地元住民の生活が展開する。
 丘の上の高みにある教会の、白いテラスから望む海を行き交う大型フェリーに、ここがリゾート都市であることが思い出される[写真中]。ヴェネチア時代には城塞だったこの場所は、元々は紀元前の神殿の建材を利用して作られていることが、白く塗られた石材の形から分かる。