舞台装置のように華麗で繊細なドゥオーモ
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ギリシアの目と鼻の先まで突き出たイタリア東南端の県庁所在地が、バロック都市レッチェだ。半島上にあるためアドリア海、イオニア海の両者に近いが、海岸線から一歩下がった台地上にある古都である。
一辺1km程度の比較的大きな旧市街は、不規則な路地の随所に、飴色の石灰岩を切り出して作られた素晴らしい造形物が散りばめられている。
16〜18世紀に際立って繁栄したレッチェは、町じゅうの小型の住宅までがその時代の流行であった、華麗なバロック建築で覆われており、その美しさからバロックのフィレンツェと呼ばれている。当時の豊かな財力と、柔らかく彫りやすいため細部の描写力に優れたこの土地の石灰岩との組み合わせにより、町全体が芸術作品であるかのような街が生み出された。
過度なまでに装飾されたサンタ・クローチェ聖堂
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レッチェのバロックは独特の発展形態を取った。ファザードやバルコニーなどの正面に力点が置かれ、極めて精緻な装飾が施されているのが特徴だ。バルコニーを支える持ち送りにまで、その姿勢は貫かれている。
旧市街の中心にある大きなサン・トロンツォ広場の中心には、ブリンディジから移設されたアッピア街道終点を示す円柱が守護聖人サン・トロンツォの像を載せて高く聳え、傍らには同じく古代ローマ時代のコロッセウムがぽっかり顔をのぞかせている。
近くには市街地に忽然と劇場遺跡もその存在をアピールしており、古代都市としての風格も十分だ。
市街地のパラッツォ(邸宅)もバロック一色
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これを取り巻くように、数々のバロック建築のパラッツォ(邸宅)が文字通り軒を連ねている。
しかしやはり見ごたえあるのは、大規模な建築物である教会群だ。門、鐘楼を備えたドゥオーモとドゥオーモ広場はハイライトだ。広場の中央から周りを見渡すと、まるで舞台装置のような素晴らしい空間が構成されているのがわかる。
ドゥオーモと並んでサンタ・クローチェ聖堂のファザードも必見だ。その余りにも繊細で豊かな表現力は、驚愕すること限りがない。
複雑に重なり合う曲線上のファザードをもつ、サン・マッテーオ教会も傑作としてその名を知られている。
中心部のサン・トロンツォ広場脇に、言われなければ気づかないほどさり気なくあるコロッセウム
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