"地中海,イタリア,モンテ・サンタンジェロ,ガルガーノ,プーリア,monte sant'angelo"
大天使ミカエルが降り立った町
Monte Sant'Ángelo
モンテ・サンタンジェロ
(イタリア)♦
Centro
Storico

記念堂の大天使ミカエル像

天使(Arcangelo)の中でも最も権威のある三天使の一人ミカエルは、伝説によれば、490年〜1656年にかけて、4回降臨している。麓の街シポント(Siponto)の司教に、牡牛の奇跡が起きた洞窟を聖なる洞窟として祭るように命じたのが始まりだ。やがて洞窟の上に立派な記念堂が建てられ、現在でも巡礼者が絶えない聖地となっている。
 街はガルガーノ山の南、標高800メートルの海を見下ろす斜面に位置する。街の一番高いところにある城は、ランゴバルト王国以来のものだが、潅木が散りばめられた石灰岩の斜面に纏まった街や、マンフレドニア湾から下界の平野部にかけての眺望が素晴らしい。一時は牢獄としても使われていた城の複雑な構造が見学できる。


城から見る、アドリア海を背景にした町の眺め

 城の周辺には広い駐車場が幾つもあるが、巡礼用のバスのためのものだ。近くには、現代の聖人ピオ神父の生誕地サン・ジョヴァンニ・ロトンド(S. Giovanni Rotondo)があり、これらを巡礼するツアーが人気を集めている。
 この先百メートルほどの大天使ミカエル記念堂までは、宗教用具から地元名産品まで何でもありの露店が軒を連ねている。およそ神聖な雰囲気ではなく、まるで日本の寺院の参道のような賑やかな感じがする一帯だ。



記念品や土産物を売る参道の露店街

かし記念堂に入り、地下の洞窟へと下りていくと、信者たちがめいめいに祈りに没頭している。この場所にしばらく身を置いていると、何かここが特別の力を持った場所である気がしてくるから不思議だ。
 モンテ・サンタンジェロの経験からキリスト教では、岩山の洞窟を聖なる場所と捉える洞窟信仰が普及し、現在このロケーションを模して、ヨーロッパ中に聖なる洞窟が設けられるようになった。


大天使ミカエルの聖なる洞窟


 またこの街は特別の意味を持つ場所と考えられるようになり、軍神ミカエルの武運にあやかるためここを訪れる兵士、神聖ローマ帝国王フェデリコ2世の寵愛を受けたアンカ・ランチャ姫の居城など、山の上の小さな町とは思えぬ、重要な扱いを受けることは少なくなかった。



ランゴバルト王ロターリの墓、と呼ばれる遺稿


 さらに下っていくと、白い小さな家々が複雑に入り組んだ迷路のような路地に面して密集する地区になっている。小さな街なので、海が一面に開ける斜面まで彷徨い歩いてみるのも楽しい。

念堂から少し下ると、ランゴバルト王ロターリの墓(Tomba di Rotari)と呼ばれる場所がある。実際には洗礼堂などであったといわれているが、現在は廃墟となっている。そのとなりのサンタマリア・マッジョーレ教会は12世紀の建造だ。

白い町並み