の斜面を覆い尽くす町、遠目に見るとそれは異様な光景だ。 ナポリとシチリアとを結ぶ高速道路をモラーノ・カラーブロで下り、町へとまっすぐ進む。あたりはポリーノ山の緑に包まれた静かな一帯だ。山々の緑を背に、谷間にある円錐型の白っぽい小さな丘が目を奪う。よく見るとそれは、山頂の城を頭に抱いて丘を覆い尽くす明るいグレーの石で築かれた街の姿なのである。
山頂の神聖ローマ帝国時代の城からは、眼下に町を見下ろすことが出来る。
丘のふもとに着いて町を見上げると、頂上へ向かって立ち並ぶ家並みは、まるで物語に出てきそうな風景だ。マジョルカ焼の色鮮やかなドームを持つマッダレーナ教会の祭壇は、おそらくビサンチン帝国時代のままであろう、ギリシア正教の形を残している。