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背後の山頂にアラブの城を抱く展望の村
Zahara de la Sierra
サアーラ・デ・ラ・シエラ
(スペイン)♦♦
Centro
Storico

ラサレーマ自然公園内、アルゴドナーレスと谷を隔てた位置にある山間部の町がサアーラだ。
 同じカディス県内の海岸部にもビーチリゾートのサアーラ(・デ・ロス・アトゥネス)があるので注意したい。
 村の背後にある急斜面の山上には今でも12世紀の塔を持つ城跡があり、町のランドマークとなっている。その斜面上のやや傾斜が緩んだ狭い土地に肩を寄せ合うように白い家並みが続いている。
 8世紀にイスラム系住民によって築かれた砦のような村は容易にキリスト教徒を寄せ付けず持ちこたえたが、最終的には1483年カスティーリャに占拠された。
 近年、町そのものが歴史地区として整備・修復されてすっかり綺麗になり、うらぶれた雰囲気はなくなった。
 しかし観光施設はなく、小さな店やバールだけの長閑な雰囲気は相変わらずだ。



山の斜面を囲むように広がる街区を登るにつれ、徐々に周囲の展望が広がってくる。
 一面の草原の中に新しくできた真っ青なダム湖が広がり高台に登りつくと、小さな広場とメインストリートがある。
 山側には18世紀のバロック式のサンタ・マリア・デ・ラ・メサ教会、谷側にはサン・ファン・デ・レトラン教会、両者に挟まれた岩の下には古めかしい役場の建物がある。さらに、その脇には恐らくアラブ時代からあったであろう水汲み場が。

 ここから新たに整備された良い遊歩道が、公園化された敷地を通って、修復された山頂の城へと続いている。大展望が待つ山頂まで10分程度なので、頑張ってみたい。
 道は時計回りに登っていくので、町は視界から姿を消し、湖が正面に見えてくる。公園管理の建物を過ぎると、道は二分するがどちらも山頂で合流する。
 白いビニール袋を持った家族が何かを取っている。

 8月だったので沢山植えられているアーモンドの木[上の写真]がちょうど収穫時期を迎えているようだ。
 ひとつ取り、皮を割って齧ってみると、ローストした香ばしさとは違う新鮮な香りが口の中に漂った。早春であれば、アーモンドの花が美しいのだろう。


 この町への訪問は、アンダルシアの白い町の中でも、一きわ印象深い思い出になることだろう。

頂の塔は修復されており、屋上まで登ることができる。
 明かりのない真っ暗の階段を抜けると、そこは雲の上にいるかのような絶景だ。
 完全に360度を見渡す展望台は、そうあるものではない。
 一面のオリーブ畑の中に点在する白い塊は、アルゴドナーレス、オルベーラなどの隣町だ。眼下を覗き込むと、サアーラの町の形が通りの一本一本まではっきり分かり、まるで衛星写真のようだ。