チ ュニジア中部、地中海に突き出た一帯はサヘルと呼ばれる。肥沃な大地と温暖な地中海式気候に恵まれ、エジプト以西で最も繁栄し続けてきた地域だ。その中心がスーサ(フランス語でスース)だ。
紀元前9世紀にはフェニキア人が最初の町を建設して以来、3000年近い歴史を持つ。カルタゴのハンニバル将軍がローマへ出陣したのもこの町からだ。ローマ時代にはハドゥルメトゥム(Hadrumetum)として知られ、農産物の集積地として発展した。
現在の難攻不落の要塞都市スーサは、アラブ人が9世紀に築いたものであり、そのまま1000年を経て現代にまで受け継がれた世界遺産都市で、サヘルの真珠と呼ばれている。
見所はメディナ(旧市街)周辺に集中している。長辺1km強、短辺1km弱の長方形をしており、港に隣接した角が最も低く、対角線上の角にあるカスバが最も高い。このそれほど広くない土地に、早足で進めないほどの密度で路地が密集しているので、感覚的にはその数倍も広い気がする。
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スーサのメディナは、チュニスのメディナとほぼ同じ構成で、それを小規模にした印象だ。細い路地の両脇に雑貨や衣料、食品を売る店、カフェなどが立ち並び、体を斜めにしながら前へ進むような雑踏だ。道の真中に屋台が出ていて混雑に拍車を掛ける。中心部には屋根つきスークがあり、貴金属など高価な品が中心に売られている。
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メディナに入ると、すぐに大モスクとリバトがある。リバトは町を守る監視塔なので、その展望は素晴らしい。カスバへと広がるメディナや、大モスクを眼下にして、貨物船が出入りする港の様子もよく見える。
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