街のシンボル、ボドルム城(聖ペテロ城)
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トルコに有りながら最もギリシア的なリゾート、それがボドゥルムである。トルコ沿岸部の町は、かつてギリシア人の居住地であった。トルコの町となった今でも、白いキュービックな建物と青い窓枠が、ギリシアの南エーゲ海の町の雰囲気を保っている。
街の中央の小さな突端の上に、街全体を見渡すようにボドゥルム城(聖ペテロ城)が築かれている。
海峡を睨む城の塔
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十字軍は12世紀にサラディーンにエルサレムを追われたが、ヨハネ騎士団はトルコに追われ後退を重ねながらも抵抗を続けた。14〜16世紀に彼等が防衛線として陣を展開したのが、ロドス〜ボドゥルムのラインだ。しかし1523年、オスマントルコに破れてさらにマルタ島とへと退却した。騎士団は母国語毎にそれぞれ組織を持っており、城内にはイギリスの塔、ドイツの塔、フランスの塔、イタリアの塔などそれぞれの本拠地となる塔がいくつも聳えている。要衝となるこの城は、前世紀の第一次世界大戦時にはイタリア軍が占拠したが、今では街やエーゲ海を見渡す絶好の展望台として、観光客が押し寄せている。街や周辺海域のどこからでも見えるシンボルであると同時に、ここから見る景色はまた素晴らしい。
まるでギリシアの町のような路地
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海に突き出た城によって外海から切り離された港には、夏であればヨットやクルーズ船が埋め尽くしているが、この港からは対岸のギリシア領コス島への高速船も出ているので、港で出国手続きを行うことによりギリシアへの日帰り旅行も可能になっている。
城の周辺の路地は、エーゲ海の町と同様の迷宮のような路地になっているが、白い家並みなので明るい感じだ。ケバブを売る店、アイスクリーム屋、レストラン、みやげ物店などが軒を連ね、ビーチから人々が戻って来る夕方から夜に掛けて、シーズン中は大変な人並みになる。時々白い風景に割ってはいるモスクのミナレットが、ここがトルコであることを思い起こされてくれる。
海峡を睨む城の塔
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街中に突然現れる大きな囲いは、紀元前2世紀にギリシアの哲学者フィロンにより、エジプトのピラミッドなどと共に「世界七不思議」に選ばれたマウソレウムだ。日本語では七不思議と呼ばれるが、七大名跡くらいの意味である。中世にボドルム城を建築の際、建築資材として解体され、現在は壮大な跡地や土台と大英博物館に持っていかれなかった僅かな出土品を残すのみとなっている。この街は紀元前4世紀、マウソロス朝の首都ハリカルナソスであった。その王の墓所として建設されたのが壮大なマウロソス廟(マウソレウム)であったのだ。
夜更けと共に賑やかさを増していく通り
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さらに緩い丘を登っていくと港の景色を見下ろすようになってくる。この斜面にマウソロス王国時代のギリシア劇場が残されている。そこから見る、城と港とエーゲ海、そしてレシャディエ半島からコス島(ギリシア領)へと展開する景色は、2500年の歴史を一度に感じることが出来る絶景のポイントだ。
日が暮れると、ボドゥルム城がライトアップされる。海沿いのレストランでそれを眺めながらトルコ料理を楽しむも良し、また有名なディスコ、ハリカルナスに行ってみるのも良いかもしれない。
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