政国家、ヴァティカヌム。日本では、英語の発音が訛って「ヴァチカン」と呼ばれるが、当地では日用語であるイタリア語でヴァティカーノと発音される。神の代理人であるローマ法皇が統治し、公用語はラテン語、人口792人、面積44ヘクタール(東京ディズニーランドよりやや小さい)、国土の主要な建築物はサンピエトロ大聖堂とヴァチカン博物館だけ、と何から何まで異例な国家だ。
国の歴史は古く、8世紀にまで遡る。1870年まではローマ一帯を支配していたが、イタリア王国により領土を大きく侵され、20世紀中に現在の姿になっている。国境管理も独自通貨もなく、観光客はローマ市のつもりで訪れることが出来る。カトリック総本山としてのヴァチカンと区別するためか、「ヴァチカン市国」と正式名称で呼ばれることが多い。
円形のサン・ピエトロ広場から仰ぐサン・ピエトロ大聖堂は、カトリック総本山の名に恥じない壮大さだ。この大聖堂は、殉教者ペテロの遺骸を埋めた場所に西暦315年に建てられた。現在の大聖堂は、150年の歳月とミケランジェロ、ベルニーニをはじめとする数多くの一流の芸術家たちの手によって17世紀に完成した。堂内にはミケランジェロらの多くの作品が溢れている。 ヴァチカン博物館もまた見逃すことが出来ない至宝の数々が展示されている。その膨大なコレクションはとても1日で見られるものではないが、システィーナ礼拝堂にあるミケランジェロの最後の審判と、丸天井のフレスコ画は見逃せない。
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