Gastronomy おいしい地中海
中海の海水は、気候や地形的条件から青く澄んでいます。ここで取れる新鮮な魚介類はおいしく、日本と同様に生食の習慣があるほどです。古代ローマ時代には既に現代と変わらぬ魚介類が食卓に上がっていたことがわかっています。また沿岸部には山岳地帯が多く、野菜、果物、肉に乳製品、木の実やきのこなど、すばらしい畑や山の幸にも恵まれています。
食は文化の基本であり、地中海各国は共通の気候条件のもとで似通った素材、調理法を用いた、一大食文化圏を築き上げてきました。その代表がブドウ(ワイン)とオリーブ(油)です。地中海が史上初めて一つの地域になったのは紀元前10世紀ごろから始まったフェニキア人、ギリシア人たちの交易活動によってでした。彼等は東地中海の産品を輸出し、また地中海各地への植民活動を通じて地中海式農業を広げていきました。それまでの牧畜(羊、牛)に加え、ワインとオリーブが加ったことで、地中海式食生活の原型が出来上がりました。
々の暮らしは変わり、リゾート開発が進みつつあるなかで、食生活も徐々にではありますが近代化しつつあります。ここでは地中海の伝統的なおいしさを今に伝える貴重なレストランの数々について、また地中海の食文化についてもご紹介いたします。有名なミシュランのガイドではレストラン最高位の三つ星を、Una delle migliori tavole, vale il viaggio(最高の食事、その店に行く目的で旅行するに値する)と定義しています。地中海生活でご紹介しているのは、貴族御用達のマニアックなグルメレストランではありません。むしろ二つ星の、Tavola eccellente, merita una deviazione(素晴らしい食事、寄り道してでも行ってみたい)、に近い感覚で選んでいます。現代風の良質なレストランなら、国内にも悪くないフランス、イタリアレストランがいくつもあります。気取らない伝統的な地中海のおいしさを、ぜひ旅の目的の一つに加えてみたらいかがでしょうか。