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活きのいい「漁師の小屋」の魚料理
Ribarska Koliba
リバルスカ・コリバ
(ヴェリ・ロシーニ −クロアチア)
波しぶきを被りそうな水際のテーブル

まさにシーサイド。食事中、物を落とさないよう注意しよう。

わいらしいヴェリ・ロシーニの港の海辺に沿って、幾つものレストランが水際にテーブルを並べている。
 市街地から一番離れた、外海に近い先端部の静かな場所にあるのが、リバルスカ・コリバだ。
 小さな町ではあるが、中心部はそれなりの繁華街になっている。しかし僅か2〜3分歩いてここまで来ると、崖に点在する松林の中の灯台、それに遥か遠くまで続く海原が見えてくる。

入口でゲストを待つスタッフ

 岸壁には柵もなく、テーブル脇が直接海になっていて、波の音・風の音が耳に心地よい。

 店名の意味は、ズバリ漁師の小屋、魚料理に力を入れている食堂だ。食堂といってもそこは観光地、レストランと変わらぬサービスが受けられる。
 メニューを見れば、そのクロアチアでは珍しいほどのバリエーションに、思わず声を上げたくなる。

鮮度が違うから何を食べても美味しい

テーブルの上は、写真集から抜き出したような光景

元で取れる新鮮な魚、エビ、タコ、貝を使った、前菜、パスタやリゾット、そしてメイン料理。
 どの料理も、ダルマチアの伝統的なシンプルなレシピで作られているが、素材の良さとシチュエーションとが、最高の一皿に引き立ててくれる。

テーブルの上は、写真集から抜き出したような光景

 イタリアのペコリーノにも似た有名な羊乳チーズ、パシュキ・シル(パグ島のチーズ)と冷えた白ワインを前に、刻々と彩度を落としていく夕暮れの海を眺めながら、料理を待つ。
 続いて運ばれた魚のスープは、白身魚と貝のだしがよく効いた雑炊風の一皿だ。
 この付近ではイタリアのようにパスタやパンではなく、スープに米を入れることが多い。それが恰も、魚の雑炊のような親しみやすい味を引き出しており、最後の一滴までおいしくいただける。

魚介類は見掛け倒しでなく、新鮮な味がしっかり染み出ている


 次の一皿は、海の幸のリゾットだ。パスタ(麺類)ほどではないが、クロアチア東部の海沿いではリゾットのメニューが目立つ。しっかり効いた魚の出しで炊き込んだ米の間に、手長エビ、小エビ、ムール貝、アサリがたっぷり。日本国内でも食べられる決して珍しいメニューではないが、これだけ新鮮な素材をたっぷり使ったリゾットは、コスト重視の日本の店ではとても味わうことはできない。

極めつけの贅沢な一皿

ブロデットは、テーブルにセットした脚の上に、すき焼き鍋のような平鍋のまま供される

後の大きな楽しみ、名物料理ブロデットが、すき焼き鍋のような大鍋に山盛りになって運ばれてきた。
 ブロデットは、さまざまな魚介類を中心としたイストラからダルマチア地方伝統の鍋料理だ。
 素材・味付け・調理法の幅は広いが、おおむね魚、エビ、貝を中心にした素材を、魚の出しとトマトの味付けで、軽く揚げてから軽く煮た感じだ。出し汁は、スープのように身がすっかり隠れるようにはせず、下の方が浸る程度なので、魚介類のうまみは流れ出すことなく身に留まり、味がしっかり残っている。
 皿の中には、スズキ、手長エビ、車エビ、ムール貝が各数匹に、ポテトとオリーブが添えられており、ボリュームたっぷりだ。
 海の方向が漆黒の覆われることになると、町の灯の温かみのある輝きが浮かび上がる。残照と柔らかい店の照明の中で、デザートのパラチンケ(クレープに似た菓子)で締めくくる。

広々としたテラスは風が気持ちいい


Ribarska Koliba(リバルスカ・コリバ),
Obala Maršala Tita 1 , Veli Lošinj, 51551, Croatia., (-->地図69
Tel: +385 051 236 235,
店舗URL: http://www.konoba-ribarska-koliba.com/,
紹介URL:
営業時間: 9-24h
休日: 無休(通年営業かは不明)
カード可,
ヴェリ・ロシーニの入江の海沿い、中心部から見て右手方向に進み、教会を過ぎて少し先の最奥。

2010.7.25掲載