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ヨーロッパ大陸最果てのラグジュアリーな隠れ家
Kirymai
Κυρίμαι
キリメ
(イェロリメナス −ギリシア)♦♦
遥かなる道のりの先にある楽園

ホテルの前に広がるのは空と海と大地だけ

ーロッパ大陸の南の果てと言われてきた、ギリシア最南端のテナロ岬。現代の測量により、ジブラルタル岬の方が僅かに南寄りであることが分かったが問題ではない。
 テナロ岬近く、樹木も疎らな焼け付くような台地の入江にひっそり佇む漁港イェロリメナス。キリメは、小さなイェロリメナス湾に溶け込むように建つ、石造りの快適なリゾートホテルだ。



入口からまっすぐ進むと、そこは海

 キリメへの道は遠い。海岸沿いであるにもかかわらず、船、飛行機などの交通が一切なく、首都アテネからペロポネソス半島の先端へ向かって車を飛ばし続けること4時間、集落も滅多にない鄙びたマーニの地の山陰の漁村にたどり着く。
 こんなところに、リゾートホテルが有るのかと誰しもが思う。小さな漁村で一番の大きな建物だから、網を結う猟師が佇む小路を通って迷うこともなくホテルに到着する。

貿易会社だった昔の記憶が、ロビーに留まる

 もともと港にあった18世紀の交易施設の、事務所から倉庫までをそのまま活かして改装した、情緒溢れる建物だ。それが新しいホテルなのに、長い歴史があるかのような安心感を醸し出している。
 石壁のゲートを抜けた後、陽射しを白一色の石材が反射する白い光の世界から、一転して暗やみの中に通される。初めは回りの様子が全くわからないが、目が慣れてくると古びてはいるが落ち着いたレセプションであることが分かる。この一角には、大邸宅のようなロビーと、倉庫をそのまま使っているであろう画廊がある。マーニ特有の乾燥した大地の村々を描いたプリント画なら、手軽に入手できる。


太陽と水とだけ戯れる時間

客室からプールへ直行できるのも楽しみの一つ

セプションの建物を海側に突き抜けて進むと、再び目も眩む陽光の下だ。海に面した石のテラスには真っ青なプール、その回りを囲む、塔有り、離れ有りの複雑な建築群の一つ一つが、個性的な客室になっている。このホテルでは、どの部屋を選ぶかが特に重要だ。料金区分だけでも8つ、さらにそれぞれの立地により楽しみ方が違ってくる。
 最高のスイートで優雅なリゾートを楽しむも良し、塔の部屋で中世の雰囲気を味わうのも良し、石の大テラスに面してプールから濡れたまま戻れる部屋も良し、しかも料金はこのクラスのホテルとしては格安だ。

 ホテルでは、いつでも海と一緒の生活だ。


陰が長く伸びる頃まで、水着のままくつろぐ

 かなりの部屋が海に面しており、背の低い草地に覆われたイェロメリナス湾の静かな入江の光景を楽しめる。わずか21室の小さなホテルの割りには、空間が贅沢に使われている。
 夏であれば、プールが欠かせない。暑くなれば水に飛び込んで、焼け付くほどに加熱した石のテラスのビーチベッドで休んだりウッドデッキで飲み物を注文して涼を取る。



イェロリメナス湾に夕闇が迫る

 気が向けばプールからそのまま海に続く数段の階段を降り、シュノーケリングセットをつけて泳いで見ても良い。そこはもう、海中にまで届く明るい陽射しに揺れるライトブルーと、白砂に映えるカラフルな小魚たちが闊歩する珊瑚礁の世界だ。海面の上と下に全く異質の素晴らしい世界が共存しているのが面白い。
 そのままシュノーケリングで沖に100メートルも行けば、リーフエッジで中型の回遊魚に出会うことができる。大規模な漁業と無縁の、今日取った分を売って生活の足しにするという昔ながらの漁のスタイルにより、豊かな海が守られている。


日が暮れると、一日の後半が始まる

日が暮れて、テラス席のキャンドルに明かりが灯った

の青色が、少しずつ紫がかってくると夕暮れが近い。倉庫一棟を改装したディナーのための立派なホールがあるが、夏ならばプールから続いて湾に向かってせり出したロマンチックなウッドテラスでのディナーが最高だ。
 一段高い所にある広い石のテラスは、気温が急速に冷え込んできても、まだ昼間の暖かさを残している。
 石の上に寝そべっていると、いつしかキャンドルに火が灯された。ディナーの準備が整った合図だ。



キャンドルの光に食器やグラスが輝く


有名な地元のアギアルティコ種の赤ワイン



 布が敷かれた大きな木製のガーデンテーブルに、ゆったりした木綿地の椅子、キャンドルに輝く、磨かれた食器やワイングラスの光が幻想的だ。あたりはほの暗く、微風と柔らかな並みの音、ゲストたちの低い会話の声が、心地よい。


ギリシア風、海の前菜の盛り合わせ(左)、海の幸のリゾット(右)


 料理は日ごとに変わるプリフィクス方式の、ギリシアをモチーフにしたオリジナル地中海料理だ。グリルしたエビのサラダ、魚フライ・茹で魚のマリネの盛り合わせ、海の幸のリゾット、サーモンのグラタン風など、いずれも丁寧な盛り付けで目を楽しませた後、ギリシアらしいボリュームたっぷりでストレートな美味しさが口に広がる。

夜のひと時は、ラウンジでゲームをして過ごすのも良い


 フルーツで締めくくった後は、メインホール裏手の静かなカフェ席に移ろう。
 小さな漁村の可愛らしいキュービックな家々の明かりを望む、取って置きのスペースだ。洩れ来る光だけを頼りに、ギリシアコーヒーの強い渋みを感じながら語らおう。




室内は、意外と木がふんだんに使われている


田舎家のような寛げる室内

屋に戻ると、マーニの古い家を再現したような寛ぎの空間が待っている。
 剥き出しのまま積み上げて固めた石の壁、床は板張り、天井は太い梁や屋根裏の板がそのままになっている。家具も布張りで木製のアンティーク調なので、外見と違ってむしろ木の印象が強く、山小屋のような感じだ。



ナチュラル感溢れる快適なバスルーム


 すっかりリラックスして、癒されたせいか、眠りに着くのも早い。

朝の空気は、マイナスイオン一杯ですがすがしい

肌がピリッとするような涼い朝のウッドデッキでの暖かいカフェオレ

朝、日が昇ると、イェロリメナス湾の向こうのラフーラの崖が黄金色に輝く。昨晩とは全く違った光景だ。
 まだ空気が熱気を帯びる前のすがすがしいテラスで朝食を取る。乾燥した夏のギリシアの朝は、海辺なのに高原のように爽やかだ。

 暖かにカフェオレに、ハム、チーズ、フルーツにパンなど好きなものを取ってきて食べる。明るいなかで改めて見ると、まるで船の甲板にいるかのように海が近い。

 ここで働く人たちには、かつて海の男だった者たちもいるようだ。といってもホテルに職を得ているのだから、荒くれ者ではないのでご安心を。穏やかな目つきで懐かしそうに、昔、日本まで航海した時のことを話してくれる。横浜、神戸はもちろん、新潟、門司などのローカルな港の名前が次々と飛び出してくる。
 ギリシアに来た外国人は、アテネに着くと飛行機で船で、次々とエーゲ海へと向かっていく。でも、エーゲ海の島々よりもっと南の大陸の果てに、こんな隠れ家があることを知らない。


Kirymai(キリメ),
Gerolimenas Gytheio 23071, Greece (-->地図50
Tel: +30 27330 54288
Fax: +30 27330 59338
e-mail: info@kyrimai.gr
ホテルURL: http://www.kyrimai.gr/
紹介URL:
部屋代: 85-230ユーロ(11〜2月)、100-260ユーロ(3・4・10月)、110-300ユーロ(5〜9月)(朝食込)
代理店:
営業期間: 通年
レストラン: 併設
カード: 可
アテネ空港から、高速道路でE65カラマタ(Kalamáta)方面終点まで241km走る。続いて一般道をメッシニア湾に沿って、カラマタ市街、カルダミリ(Kardamíli)、アレオポリ(Areópoli)と通過し、138km地点でイェロリメナス(Geroliménas)に到着する。集落に入ったら路地のような細い道を海岸線に沿って南に進むと、村はずれにホテルがある。バスで行く場合、直行便はないが、アテネ市内でイシオ(Gýthio)またはアレオポリ(Areópoli)行きの長距離バスを見つけると良い。そこからイェロリメナスへは、ローカルバスかタクシーを乗り継いで移動する(それぞれ、55kmと27km)。

2007.4.30掲載