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元マグロ加工場が生まれ変わったラグジュアリーリゾート
Tonnara di Bonagia
トンナーラ・ディ・ボナジア
(トラーパニ −イタリア)♦
海とトンノ(マグロ)がホテルのテーマ


ホテルの象徴の塔の下にあるカフェは、ちょっと一息入れるのに便利


ンノ、すなわちマグロは、シチリアを語るとき欠かすべかざる存在だ。特にトラーパニを中心としたシチリア西部は最近まで県の産業を支える大黒柱だった。その加工場や宿舎などの施設を活かして、海とトンノ(マグロ)をテーマとしたラグジュアリーリゾートにリノベーションした。それがトンナーラ・ディ・ボナジアだ。


ホテルの目印は錆びた小さな看板だけ

 トラーパニから海岸を北東に約10キロ、有名な山上の観光地エリチェのちょうど真下に位置する海岸沿いの小さな村トンナーラ・ディ・ボナジア。漁港のまん前の古いマグロ加工場の大きな敷地が、いまはこのホテルとなっている。外観はあえて昔のそのまま保っており、周囲を黄色がかった塀でぐるりと囲まれている。一見倉庫か、それとも廃墟か何かのように見え、とても豪華なホテルがあるとは思えない。堤防の正面あたりに、古い木の扉があり、錆びて茶色くなった看板に小さな字で「Tonnara di Bonagia」と書いてある。だがひとたび門をくぐると、そこは別世界だ。

 敷地内には必要なリゾートに必要な全てが揃っている。そのためホテル棟の他、割安な長期滞在用アパート棟もあるが、やはりここでは海の見えるホテルの一室に泊まりたい。


ゆったりしたテンポのリゾートライフ

朝食のためだけに使われる立派なホール

こでの一日は、朝靄に包まれたサン・ヴィート岬の風景で始まる。リゾートシーズンであれば、まずは朝食で暑い一日を乗り切るスタミナをつけておきたい。ホテルの朝食はそれに答える立派なものだ。
 朝食は塔のすぐ下の大きな倉庫を利用した、専用ホールで取る。朝食専用にこんな大きな食堂を持っているのも、敷地と建物に余裕のあるこのホテルならではだ。


朝食なのに美味しそうなケーキがこんなに充実

 カラフルなインテリアと、海をテーマにしたモダンな作品で飾られた朝食ホールはバイキングになっていて、10種類以上のパンを初め、飲み物、料理、チーズなど、どれも種類が豊富で味もハイレベルだ。また果物だけでテーブル一つを占めており、さらにケーキが何種類もあるのが甘い物好きのシチリアらしい特徴だ。


敷地の入口から漁港を見たところ

 しばらくすると気温があっという間に上がってくるので、広大な石を敷き詰めた中庭に面したカフェで外の空気に触れたくなってくる。この中庭のあちこちにある、錨や魚網など、漁に関するディスプレイは、とてもセンスがいい。
 中庭の一角には礼拝堂があり、祭りの神輿が置かれている。祭りの当日、近辺を練り歩くのかもしれない。


塔の下にさりげなく置かれたディスプレイ



 さらに日差しが強くなってきたので、プールに移動しよう。

 ボナジア湾を望む一段高い位置にあるプールサイドのリクライニングチェアに寝そべれば、プールの水色と海の紺碧とのコントラストが美しい。タオルや飲み水を配るスタッフが時々回ってくるのでありがたい。

 プールに飽きたら、目の前の海で泳ぐのも良い。

雄大な海を眺めながらのプール

 プライベートビーチになっているので、安心して過ごすことができる。

 休憩なら、プールサイドのカフェがあるので、ここで一日を過ごす宿泊客は多い。

海水浴もプライベートビーチ感覚で


 もっと大きなビーチで過ごすなら、ここから車で1時間弱の、サンビート・ロ・カーポの砂浜がいい。どこまでも続く白砂の美しさは、シチリア一といわれている。

 またホテルの真上の山上都市エリチェの観光や、トラーパニの市内や塩田など、近くの見所を巡るのも良いだろう。


魚と共に過ごす夕べ

マッタンツァの仕掛け(「マグロ博物館」の展示)

方の涼しい時間、あたりが暗くなり始めた頃、メインイベント目当てに客が三々五々中庭のカフェの前に集まってくる。ホテルの象徴となっている塔、これはかつて望楼として使われていたが、現在ホテル専用のマグロ漁博物館になっている。そのツアーが始まる時間なのだ。


マッタンツァで使うこん棒


 塔の中は何層かに区切られており、シチリア独特のマグロ漁「マッタンツァ(mattanza)」の仕掛けや方法、道具の展示など、一部始終を知ることが出来る。説明が、「日本人の需要に応えマグロを取り過ぎたため資源が枯渇し、今ではマグロ漁も産業も滅んでしまった」というくだりになると、


塔の屋上から見た浜辺。元マグロ加工場と廃船。

一斉に周囲の冷たい視線を浴びるので覚悟したほうが良い。

 さらに説明は塔の屋上に場所を移して続く。ここから見る景色は本当に素晴らしく、ティレニア海の青、海岸の廃船、サンビート・ロ・カーポの岩山へ続く海岸線、切り立ったエリチェの山塊、そして沈み行く夕日。大自然の雄大さを十分に感じられるひと時だ。




ホテル内の土産店。上質な地元名産品のセレクトが楽しみ。

のホテルもまた美しい。中庭から塔や建物を見渡すと、暮れなずむ紺碧の空と黄色くライトアップされた建物との光景が、日中とは全く異なった色彩感覚で私たち迎えてくれる。
 そんな時間には、フロント脇に入口がある土産物屋の、とても感じ良いディスプレイに誘われて覗いてみたくなる。小さい店ではあるが、トラーパニ周辺の地域や島々で手に入るマグロや海産物の加工品やテキスタイル、陶器など、地域を代表する上質の製品があらかた揃っている。


幻想的な光に包まれたチェーナ用のリストランテ


アーティスティックに飾られた料理の数々

 チェーナ(夕食)用のリストランテは、塔の反対側の奥まったところにある。ライトアップされた塔を眺めながら、テラスでまたは庇の下で、趣向を凝らしたアーティスティックな料理を楽しめる。
 メニューはアラカルトの他、長期滞在者が飽きないよう必ずその日のスペシアリテが加えられている。ホテルのコンセプトに則った魚中心の料理であることはいうまでもない。

 調理技術は平均的レベルなので、イタリアの真髄を味わいたいなら、魚料理のレベルが高いトラーパニ市内までホテルの送迎車(有料)で出かけることもできる。


お休み前のホテルの小さな心遣い



 就寝前、部屋に戻ると枕元にはメッセージカードを添えた小さなお菓子が。そんなちょっとした心遣いがもあって、ゆったりとした気持ちで眠りに着くことができる。

Tonnara di Bonagia(トンナーラ・ディ・ボナジア),
Piazza Tonnara, Bonagia, Valderice 91010(TP), ITALY (-->地図36
Tel: +39 0923 431111
Fax: +39 0923 592177
e-mail: reservation.ton@framon-hotels.it
ホテルURL: http://www.framonhotelgroup.com/it/valderice/tonnara_di_bonagia/index.html
紹介URL:
部屋代: 117-162ユーロ(スタンダード・ロー〜ハイシーズン)(朝食込)
代理店: http://www.framonhotelgroup.com/(フラモンホテルグループ)
営業期間: 通年
レストラン: 併設
カード: 可
トラーパニ市内からタクシー約15分(10km)、トラーパニ空港から9km、パレルモ空港から92km

2006.5.7掲載