キプロス共和国の首都レフコシャ(ニコシア)と港町ギルネ(キレニア)を結ぶ幹線道路がキレニア山地を越えるポイントから僅か数キロの地点に、素晴らしい山城がある。
そして実際この標高732メートルの城に、中世のキプロス王室が、夏の間避暑のため暮らしていた。この山城は防御性が高いだけではなく、首都の気温が40℃を越える夏の間も日陰に入れば涼しい快適さも兼ね備えている。 元々ここは聖ヒラリオンを祭った修道院であったが、やがて要塞となりついには王家の住処になったのである。
数分の登りで中の部分に着く。ここは王宮の実質的に下半分で、居室の他に、礼拝堂、井戸などが揃っている。 テラスからのキレニアの海岸線の眺めが素晴らしく、木陰にカフェがあるので思わず一休みしたくなるところだ。 この先はそそり立つ岩峰を縫うようにつけられた階段やはしごを上っていく、まるで登山道のような道となり、年配の見学者はかなり苦労するところだ。 十分ほど喘ぎながら急傾斜を登り切ると、ごつごつした稜線の上に出る。
山頂部には、居室、台所などがあった場所だ。残された土台からその大きさが図り知れる。 居室跡から稜線へのジョン王子の塔へは歩いて数分、岩峰歩きの登山気分で移動する。目も眩むような絶景が待っているので行ってみたい。 訪問には、幹線道路の分岐から遠いので、レンタカー利用か、キレニアからのタクシー利用が便利だ。
要塞としての価値は現代にもまだ完全には失われていないと見え、周囲はトルコ軍の駐屯地となっている。 幹線道路から分かれ駐屯地に入る地点で軍の検問を受ける。さらに車を一台ずつ通らせて、途中で不審な行動を取らないか見張っている。軍の展開する地帯では立ち止まったり写真を取ったりしないよう気をつけたい。 |