キアはトルコの歴史を語る上で欠かせない古代王国だ。地中海岸で山が迫る最も険しい地域に、少なくとも紀元前10世紀には強固な同盟都市国家を築いていた。勇猛で団結心の強い気質と言われるリキア人は、その後のペルシア、ローマ、ビサンチンなどの征服を耐え抜き首都を維持したが、7世紀のアラブ人の侵略後、都市機能は衰退した。
リキア人は見事な彫刻物を数多く残しており、石棺やネクロポリス(墓所)の神殿は今でも見事な形をそのままに伝えている。石棺は台の上に乗せられ安置してあるものも多いが、このクサントスの石棺の台は10メートル近い高さがある特異なものだ。石碑には、リキア文字がギッシリと書き込まれている。 遺跡はアンタルヤ、ダラマンいずれの空港からも車で2〜3時間はかかる不便な場所だ。クヌク(Kınık)という片田舎の小さな村の近くの丘の上に草に埋もれるように有り、入口には葦で葺いた屋根の入場券売り場があるだけの、世界遺産とは思えぬうらぶれた様子だ。中心部にはローマ時代の劇場跡が発掘されているが、それも含め崩れた石塊が広大な面積の至るところに散在しており、今も発掘が続いている。
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