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大西洋に突き出た最果ての岬
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遥か大西洋へ漕ぎ出すヨーロッパ西南端の岬、それがサグレシュ岬だ。
15世紀の初頭、大航海時代の始めにいち早く、ポルトガル王ジョアン1世の息子であるエンリケ航海王子は、当時未知の世界であったアフリカ南部に最も近いこの地に、伝説の村ヴィラ・ドゥ・インファンティ(Vila do Infante)を建設し、天文・地図・航海・造船の専門家を招いて航海学校を設立した。
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荒野に建つ聖堂とサン・ビセンティ岬の遠望
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アメリカ同様に、アフリカもモロッコより南は未知の世界であった当時、エンリケが派遣した探検隊が始めて、航海可能であることを示したのである。
船の時代が終わった今、サグレシュ岬は大航海時代以前と同じ静けさを取り戻した。
草一つない赤茶けた台地を一本の石畳の舗道が伸びている。
その先には取り残されたような小さな聖堂があり、海を目の前にした崖まで進む。うらぶれた砦の跡と一門の大砲だけが、往時の記憶を呼び覚ます。
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