最新バカンス事情


 ソルボンヌ大学のジョルジュ・カゼス教授はバカンスを、心身をリフレッシュするため「仕事以外の目的で4日間以上、通常の居住地を離れること」と定義しています。

 イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの主要国ではおおむね1ヶ月の有給休暇が認められており、これらを利用してバカンスに出かけます。

 バカンスの歴史はそれほど古いものではありません。例えばフランスでは有給休暇は1950年代には今の日本の大手企業とほぼ同じ3週間でしたが、60年代に4週間、80年代に5週間へと大きく広げられました。しかし一方でバカンスの平均連続日数は20年前の27日から、現在は20日以下となっており、短いバカンスを複数とるようになりつつあるといえます。従来のように夏に会社が完全にストップするということはなくなりつつあるようです。

 またバカンスは社会的地位が高いほど取る傾向にあり、上級管理職の8割程度が取る一方、ブルーカラー層では約半分、農民層では約3分の1しかバカンスを取っていません。

 典型的なバカンスの過ごし方としては、例えば家族4人でフランス南部の農家を借り切り、2週間のあいだ近くの野山を歩いたりしてのんびり過ごす、と質素なものです。宿泊費は家族全員の2週間分で10万円です。地中海生活で紹介するようないわゆるリゾート地に行った場合はその数倍の費用がかかるということです。



      (朝日新聞1997年7月24日東京第13版8面の内容を要約)


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