「地中海生活」 1999年 春号 ( 2月12日発行 通算第13号 ) | MAP & TRAVEL |
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アスティパレア島について |
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エーゲ海の南東部に位置するアスティパレア島は、蝶のような形をした島で、島の名前と同じアスティパレアという町と、いくつかの小さな村から成り立ちます。アスティパレアの町は、ホーラと呼ばれる中心部と、スカラと呼ばれる港とに別れており、ヴェネチア時代の城とあわせて、すばらしい景観を形作っています。
島の大部分は殺風景な荒地や、草の少ない茶色がかった牧草地であり、そのため青い海、白い町並みがとても引き立って見えます。
この島は正式にはドデカニサ諸島に分類されますが、ドデカニサ諸島とキクラデス諸島との中間に位置するため、両諸島内をめぐる航路から外れて孤立しています。現在の町並みはトルコの影響が強いドデカニサよりも、ギリシア的なキクラデス的な白い町となっています。
とても美しい島ですが、あまり観光化されておらず、絵のように美しい町並みと、静かなギリシアの田舎の島の素朴な暮らしがとても魅力的な島です。
小さい島ですが、アスティパレアの町には、宿泊施設や食堂はもちろんのこと、医者、薬屋、本屋、旅行代理店、パン屋、土産物屋、スーパーマーケット(よろずや)、郵便局、洋服屋など、必要な店はだいたい揃っています。
近年アテネとの間に航空便が開設され、大変容易に訪れることができるようになりました。
アスティパレア島はトルコから約80kmと比較的近い位置にあり、紀元前においては、ドデカニサ諸島と同じく、ギリシア人、ペルシア人などの小アジアの時の権力の勢力下で、その歴史を歩んできました。紀元後は、他のギリシアの島々と同様ローマ帝国、ビサンツ帝国に属しましたが、13世紀にはヴェネチア共和国領となりました。
中世以降、東地中海はイタリアとトルコの派遣争いの場となります。13〜15世紀の約300年間は、ヴェネチア共和国領として、東地中海航路防衛拠点の一翼を担いました。このときの城跡が、島一番の見所として現在まで残っています。15世紀後半からトルコの国力が急速に拡大し、アスティパレアをはじめとするヴェネチア配下で残ったギリシア諸地域も、16世紀前半のうちにすべてトルコ領となりました。この地を約400年支配したトルコもやがて衰え、1912年からは再びイタリア領となります。
最終的にこの島がギリシア領に戻ったのは今から約50年前、イタリアが第二次世界大戦で破れた後の、1947年のことでした。
他のエーゲ海の島々と同じく、夏は地中海性の晴れた暑い日が続きますが、湿度が低く、木陰や夜間はしのぎやすくなります。春、秋は気候が良くお勧めできる季節ですが、船は減便されるので注意が必要です。冬は海、空とも荒れ交通が遮断されるときがあるほどです。
アスティパレア島にはアスティパレアの町以外には特段の観光地はありません。したがって1日あればすべて見れることになります。しかし、せっかくですからこの町で数日ゆっくり過ごすことをお勧めします。
島内にはいくつかのビーチや教会があり、それらをめぐるのも良いかもしれません。
日本からアスティパレア島に行くには、ギリシアの首都アテネから飛行機で行くのが最も速い方法です。アスティパレア空港は蝶の形をした島のちょうつがいの部分にあり、タクシーで町まで出ることになります。
日本からギリシアへの直行便はありませんので、アジアかヨーロッパの都市で乗り換えとなります。ヨーロッパ乗り換えの場合、ほとんどの場合、運賃が割り増しになります。
なおスケジュールは1998年夏期のものです。周辺の交通は、冬期はかなり減便になります。ここでは夏期を前提に説明いたします。
ホテルはアスティパレアのスカラ(港)地区に3軒だけあります。貸しアパート(部屋貸しのみで基本的に朝食なし)は数多く見られるので、現地で見て気に入ったところに泊まると良いでしょう。貸しアパートは1泊から借りられ、ホテルとの基本的な差は、朝食が出るか出ないかだけです。昼食、夕食はどちらでも出ません。
この島は観光化されていないため、貸しアパートは比較的空きがあり、料金も安めです(2名用の1室が1日5000ドラクマ=2000円程度)。ホテルよりも家具も質がよく間取りもゆったりしているところもあり、しかも割安です。朝食が出るところもあり、全く問題なく利用できます。
特に、スカラ地区の入り江に面したフェリー埠頭と反対側の一角(本文で紹介した「カルロス」もその地区にあります)が、お勧めの場所です。
一般的に通用するのはギリシア語のみです。ただし観光に携わる人は、人によっては英語を理解しますので、とりあえず英語のみで旅行することは可能です。ただしギリシア文字は知っていた方が何かと便利でしょう。
タクシー運転手や、レストランの人などはおおむねギリシア語しか話せません。しかしギリシアの庶民的なレストランでは厨房に入って品定めをすることはルール違反ではないので、注文に困ることはありません。また学生さんは日本人と同じくある程度英語を理解する人が多いようです。