「地中海生活」 1999年 秋号 ( 8月12日発行 通算第15号 ) P.5
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 城壁の上にあがると、この要塞都市の全貌が現れ、それと同時に周囲の眺望が開けます。

 町の中は殺風景で、開口部のほとんどない土色の石の壁面が続きます。おそらくアラブのカサバ(要塞都市)と同じ起源を持つ様式なのでしょう。
 実際にマルタの歴史は海賊との戦いの歴史であり、1637年までは全島民はこのチタデルの内部で夜を明かしていたといわれています。

 しかし観光に生活の糧を得る現代においては、数は少ないですが観光客相手の店が有り、そんな中にわずかに色取りを添えます。


 チタデルはゴゾ島のほぼ中央にあるので、平らな島のほぼ全土を見渡す、360℃の展望が得られます。

 眼下にはチタデルの周囲に広がるヴィクトリアの町のマルタ風建築の町並、そして平らな島の大地、遠方の所々に見える突起物は他の村々の大聖堂です。

 このチタデルと並んでヴィクトリアの町のシンボルでもある、セント・ジョージ教会のドームが良く見えます。


Top; The Citadel, Gozo
The second; The Citadel, Gozo
The third; The Citadel, Gozo
The forth; the view of Gozo Island, at the Citadel
Bottom; Victoria, at the Citadel




 ヴィクトリアの町に出てみると、活気のあるごく普通の町でした。城砦内の静けさとはまさに対称的な世界です。

 ゴゾ島は地形的に良い港がなく、また海賊の襲来を避けるために、島のちょうど中央にこの島の首都が作られました。そのため英領になる以前のこの町の名は「ラバト(町)」であり、現在でも島民はこの町をそう呼んでいます。



Top; Victoria, Gozo
Bottom; Victoria, Gozo

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