"地中海,アルバニア,サランダ,サランデ,sarande,saranda"
急ピッチで発展中のビーチリゾート
Sarandë
サランダ
(アルバニア)

ルバニアで随一のビーチリゾートと言えば、最南端の町サランダだ。この国に開発の波が押し寄せたのは周辺諸国の中では一番遅かったため、今まさに町じゅうが建設ラッシュのさなかにあり、なにもかもが新しい。
 だが街の歴史は古く、すでに紀元前にイリュリア人の町として知られていた。紀元5世紀頃に建てられた、遠くアルメニアで殉教した40人の聖者を祭った修道院にちなんで、町はÁγιοι Σαράντα(アギイ・サランダ、ギリシア語で40人の聖者)、もしくはSanti Quaranti(サンティ・クヮランティ、同イタリア語)と呼ばれるようになった。
 中世のトルコ時代には、内陸の大都市ヤニナ(Janina、現在のイオアニナ)の港として栄えた。サランダの港は、前方をケルキラ島(イタリア名の「コルフ島」で知られる)に塞がれた湾内にあるため、風除けに好都合なのだ。20世紀のトルコ帝国崩壊時にアルバニアに組み込まれたが、住民はギリシア人が少なくない。

 人口が大きく増加したのは最近のことなので、街には20世紀の建物が多い。旧市街らしい街区は見当たらず、山沿いに共産政権時代の高層建築が立ち並ぶ様は、一見日本の行楽都市、熱海のようでもあり味気ない。
 それでもここを訪れる客の多くはビーチが目的なので、オリーブや松の林に縁取られた美しい海がありさえすれば問題ない。5つ星のブトリントホテルを始め、海岸沿いにホテルやコンドミニアムが立ち並び、周囲の海岸にもツーリストビレッジが次々に建設されている。
 サランダは周辺の観光資源に恵まれており、ここを足場に周囲を観光できる。市内でぜひ訪れたいのは、丘の上の古城レクレジ(Lekuresi)だ。港と街とを見下ろす、素晴らしい展望台だ[写真中]。目の前に広がるのはギリシアのケルキラ(コルフ)島、さらにブトリント遺跡までの半島状に延びる細い丘陵地と海の青とのコントラストが素晴らしい[写真下]。古城は、構造を保存しながら観光レストランに改装されており鄙びた感じは微塵もないが、これほどまでに絶景のテラスで食事が出来る場所はそうそうないので、休憩だけでも可能なのでぜひ訪れたい。

 古代から中世に掛けて栄えたブトリント遺跡へは南へ約20km、世界遺産に指定されてからはシーズン中は大変な賑わいだ。ジェラ山(Mal i Gjerë)の麓、山深い森の中に湧く青い泉、シリ・イ・カルタル(Syri i Kaltër、青い目)は東へ約20km、その先へさらに進めば、アルバニアらしい趣きを残す街ジロカスタルへも行ける。最近、世界遺産に指定されたばかりだ。
 対岸のケルキラ(コルフ)島へは高速船で僅か30分、出入国に若干時間がかかるが、手軽に日帰りで往復できる。