"地中海,クロアチア,ラブ,rab"
町と海とのハーモニーが目にも鮮やか
Rab
ラブ
(ラブ島 −クロアチア)♦♦
Centro
Storico

四本の教会の鐘楼がラブの町のシンボル

本の高さを競い合う個性的な教会の鐘楼が、ラブのシンボルだ。聖エウフェミヤ湾に長く伸びた岬の上に作られた狭い町の4本の塔は、見る方向によりさまざまにバランスを変えながら、見るものに新しい光景を与える。
 ラブは、ローマ帝国の町アルバに起源を持つ。中世のヴェネチア領時代、大陸に近く主要航路から遠いこの町にヴェネチアは関心を払わず、戦乱や疫病もあり町は衰退した。そのためか他の島々と明らかに違って街の雰囲気にイタリアっぽさはなく、飾り気のない石造りのダルマチア風だ。

海上タクシーが町の公共交通機関

 町の入口にあたる岬の付け根で車はシャットアウトされ、石畳の旧市街へは徒歩または海上タクシー入る。
 海上タクシーは、バスとタクシーの中間のような存在で、決まった停留所の間を決まった料金で航行しているが、時刻表はなく、客の入りを見ながら船長の判断で随時出航する。沿岸のホテルやアパートから町に行くのに大変重宝する。

町はエウフェミヤ湾に突き出た岬の上に乗っている


 町には石畳の歩道が張り巡らされ、白っぽいダルマチアの石を使った建物がぎっしり立ち並ぶ。
 岬の付け根に近い城壁跡に登れば、4本の塔がお互い近くに干渉しあって見事な調和を見せる。


鐘楼は町の一番高い部分に一列に並んで建っている

の一番高い部分をまっすぐ進むと、順番に塔のある教会を訪ねることができる。
 塔はどれも登るのに一苦労の高さだが、それぞれ違った素晴らしい海と森と町と港のハーモニーが楽しめる。
 訪問時に公開されていたのは、半島付け根から数えて、最初の聖イヴァン・エヴァンジェリスト(Sv.Ivan Evanđelist)教会と、三番目の聖アンドリエ(Sv.Andrije)教会の鐘楼だ。いずれもしっかりした運動靴が欲しいくらいの急な階段を、前者は危なげな木組みの階段で登り、後者は狭い石の階段と最後には危険な鉄梯子で登る。しかしその苦労がねぎらわれる展望に、しばし息を呑む。

白い石で作られた明るいダルマチア風の町並み


 賑やかな町の内部に比べ、港に面した岸壁側は建物の裏口になっていて、小型船が沢山係留されているが人通りは少なく、まるで大型施設の裏手にある駐車場のような雰囲気になっているのが、旧ヴェネチア領の町とは違いクロアチア的だ。

 家々が密集した岬の中央を貫くのがスレドニヤ通り(Srednja Ulica)で、頻繁にアーチやトンネルが渡された細い路地の両側にレストランやショップが並ぶ繁華街だ。その一角に、周囲の建物に埋もれるようにヴェネチア時代のモニュメントであるロッジアが残っている。

スレドニヤ通りは、歩いて磨かれた石畳の目抜き通り



町の裏手の海岸はこんなにきれい

ブ島の大きな魅力の一つは、自然の美しさだ。驚いたのは、このラブの町と隣接して、港の反対側の松林の下の白砂と青い海の素晴らしいビーチになっていることだ。
 遊歩道がどこまでも続いているので、好きなところで泳げばよい。そして裏山は、松が生い茂る森林公園が広がる。
 ラブの町はホテルも整備されている。松林の中の、町まで数分の好位置に、老舗のホテル・インペリアル(Hotel Imperial)があり、またタクシーボートの対岸の停留所前には、町の眺めが素晴らしく設備も整ったホテル・パドヴァ(Hotel Padova)がある。プチホテルも幾つかあり、ツーリストにとってアクセスが良い。

夜も更けた岸壁のレストランで静かな時を過ごす


 島での楽しみの全ては、ナチュラル・ツーリズムだ。カリフォント(Kalifont)の森をサイクリングやトレッキングで回り、カンポール(Kampor)のビーチで過ごし、カメニャック山(Kamenjak)へ登り真っ白な山と青い海の自然美を堪能してみたい。