"地中海,イタリア,アルベロベッロ,プーリア,alberobello"
密集したトゥルッリの街
Alberobello
アルベロベッロ
(イタリア)♦♦
Centro
Storico

屋根にシンボルの入ったトゥルッリの家並みが続く

を円錐型に積んで作ったとんがり帽子のような屋根の小さな家、トゥルッリ(本来トゥルッロだが、通常複数形でこう呼ばれる)。屋根の頂上には白いクーポラを乗せ、しばしば屋根の石の部分に、原始宗教や魔術、キリスト教などをモチーフとしたシンボルが大書きされている。
 トゥルッリは、プーリア州のイトリア谷周辺を車で走っていると普通に見られる建築様式だが、アルベロベッロのように、いくつかの地区全体がトゥルッリの建築になっているのはこの街だけの特徴だ。近年世界遺産にも登録されてからは、観光客が極端に増え、地区内を抜ける通りはツーリスト向けの土産物屋が列をなすほどだ。


観光客が集まるモンティ地区

 トゥルッリは、この地の領主が国税逃れのため不動産の所有を禁じ、本来小屋として使われていいた取り壊しと再建とが容易な石組みの建物を住居に使用するようになったのが始まりである。
 この街だけにトゥルッリが集中しているのは、18世紀のナポリ王、フェルディナンド4世が、この地域の農民(イタリアでは農民が市街地に住むことは普通にある)の建物であるトゥルッロの姿が大いに気に入り、町内の建物は全てトゥルッリで建てるよう命じたためとされている。
 その後、中心街は一般の建物に建て替えられたものの、農民の居住地であったモンティ地区とアイア・ピッコラ地区は、保存地区となり新築の建物はもちろん教会までがトゥルッリで建てられつづけており、現在までその町並みを残している。


アイアピッコラ地区には中世のトゥルッリの町並みが残る

役所前の、石を敷き詰めた四角いポポロ広場が町の中心となっているが、観光客にとっての中心はトゥルッリ地区の真中にあるジュセッペ・マルテロッタ広場だ。二つのトゥルッリの丘に挟まれた窪地のような地形になっていて、駐車場や、夏には移動遊園地も出てくる多目的広場となっている。
 この広場から北に一歩上がった斜面のテラスから、モンティ地区の迫力あるトゥルッリ群を見渡すことが出来る。さらに上がると、ポポロ広場の東側に、中世以来の古いトゥルッリが残るアイア・ピッコラ地区だ。今もそのままの姿を保つ平屋で2〜3部屋程度の粗末な建物が、農民の暮らしぶりを髣髴とさせる。


ジュセッペ・マルテロッタ広場上のテラスから見るモンティ地区


 一方反対側のモンティ地区は、2階建てで部屋数も多い現代風の立派なトゥルッリが多い。観光客用の店が多く人並みが集中するのものこの地区だ。メルヘンのような町並みが日本人に特に人気があるようで、イタリアにしては珍しく片言の日本語が通じることさえある。
 屋上を客に開放している土産物屋があるので、屋根の上から街の眺めを見るのも一興だ。丘の最上部にあるサン・タントニオ教会まで街区は続いている。