「地中海生活」
1997年 春号 ( 2月12日発行 通算第5号 )
MAP & TRAVEL
THE MAP OF SANTORINI
本文に登場する町
その他の主な町
ギリシア全図
イア(サントリーニ島)について
概要
歴史
旅行の季節
旅行日数
行き方
ホテル
ことば
その他の見どころ
参考書籍
ギリシア全般の情報
概要
エーゲ海のなかでも最もドラマチックな景観を持つこのサントリーニ島は、ミコノス島と並んでギリシアを代表する景色の一つとして全世界に知られています。日本人の多くの人が、たとえサントリーニ島と知らなくとも、写真などでその風景を見たことがあるはずです。
この島は火山島で、陥没せず海上に残ったカルデラの一部が半円形のサントリーニ島、およびティラシア島となりました。特に火口内部に向かっては、高さ200〜300mの崖となって一気に海に崩れ落ちており、それがエーゲ海のすばらしい展望を生み出しています。活動は今なお活発で火口の中央部のネア・カメニ島ができたのは今世紀初頭のことです。またそのため有史以来たびたび地震に見舞われ、町が壊滅的な被害を受けることも珍しくありませんでした。
古代に栄えたあと忘れ去られていたこの島は、近年開発が進み今再びにぎわいを取り戻しました。いまではカルデラの風景とネア・カメニ、パレア・カメニの噴火口はこの島の観光には欠かせぬ風景になっています。
イアの町は、島の中心地フィラ(ΦΗΡΑ)から北に約10kmにのところあり、北端に位置します。西に向かって展望が開けるため夕日の町として観光客の人気を集めています。夕方になると満員バスに乗って島中の観光客が詰めかけてきます。
この町は東地中海の中心に位置するという地の利をいかして海運で栄えましたが、1956年の大地震で衰え、島の中心の地位をフィラに譲りました。
この島には4つの名前が一般的に使われています。正式名と通称、そしてそのギリシア文字表記とローマ字表記です。それぞれΘΗΡΑ(シラ)、THIRA(ティラまたはシラ)、ΣΑΝΤΟΡΙΝΗ(サントリニ)、SANTORINI/SANDORINI(サントリーニ/サンドリーニ)となります。またイアの町もギリシア文字表記のOIAとローマ字表記のIAの2通りがあります。
戻る
歴史
紀元前20世紀頃からこの島ではミノア文明が栄えましたが、紀元前15世紀頃の火山の大爆発で滅亡してしまいました。現在のカルデラの原型はこのとき出来たものです。
その後大陸からこの地に現在のギリシア人の祖先が渡ってきました。この島はギリシア・スパルタ市の属州として発展しました。後に一時的なエジプト領の時期を経て、紀元後ギリシア本国とともにローマ帝国に併合されます。
以後ビサンツ帝国の一部としてしばらく時が過ぎますが、11世紀には十字軍として来襲したヴェネチアに併合され、さらに14世紀にはトルコの一部となります。トルコ領時代、ギリシア正教の信仰は許可されていたためその文化が廃れなかったことは幸いでした。1830年に本国と同時に独立を取り戻し、現在に至ります。
戻る
旅行の季節
他のエーゲ海の島々と同じく、夏は地中海性の晴れた暑い日が続きますが、海に囲まれていてしかも海岸より高いため、その暑さは比較的しのぎやすいものです。春、秋は一番島が静かなシーズンですが、ホテルや飛行機、船は少なくなり注意が必要です。冬は海、空とも荒れ交通が遮断されるときがあるほどです。ホテルやレストランはほとんど閉まり観光客の居所はありません。
戻る
旅行日数
イアは小さな町なので最低1日で見て回れます。サントリーニ島全体では見所も多く、日程が許すなら最低1週間はかけたいところです。
また日程の都合で飛行機とタクシーを駆使した駆け足旅行をせざるを得ないケースもあるかもしれません。その場合でも9日の日程があれば、当地で6日の時間がとれますから、ミコノス島、サントリーニ島、ロードス島をさわり程度に見て回ることは可能です。
戻る
行き方(交通)
日本からサントリーニ島に行くには、ギリシアの首都アテネから飛行機で行くのが一般的です。他にアテネのピレウス港から船で行く方法もありますが、季節により時刻が変動するので注意が必要です。船便は夏期以外は大幅に便数が減少します。サントリーニ空港からはタクシーでイアまで約15Kの道のりです。なおスケジュールは1996年夏期のものです。島内や周辺の交通は、冬期はほとんどストップします。ここでは夏期を前提に説明いたします。
サントリーニ島へ
現地まで機中泊か、中継地のいずれかでほとんどの場合1泊することになります。またアテネ空港まではヨーロッパ料金に加えて追加料金がかかる航空会社が多いのでご注意ください。
KLMオランダ航空利用(月・火・水・金・土曜発のみ)
東京12:30→アムステルダム16:45 乗継 アムステルダム19:25→アテネ23:25 乗継 アテネ5:45→サントリーニ6:35
エールフランス航空利用(月・水・木・金曜発のみ)
東京21:55→パリ4:25 乗継 パリ9:45→アテネ14:00 乗継 アテネ19:30→サントリーニ20:20
島内の交通
島内の各町およびビーチの間はバスで結ばれており、便数も多く便利に利用できます。特にイアと島の中心地フィラとを結ぶ路線は夜の遅いギリシアらしく午前2時頃まで運行しています。
またタクシーはやや台数が少なく待つこともありますが、空港や遺跡観光などバス路線のないところに行くには必須です。料金も安いので気軽に利用できます。
周辺の島への交通
カルデラ内の火山島ネア・カメニ、パレア・カメニ、ティラシア島へはイアの他、フィラなどから周遊観光船が出ています。前日に予約するのが一般的です。
他のエーゲ海の島々へはフィラ新港から船が出ています。また飛行機がミコノス島、クレタ島、ロードス島などに出ていますが、便数が少なく予約が必要です。料金は1フライト1万円前後で利用できます。飛行機の場合はアテネ経由で他の島へ行く方が、料金は高いが確実です。
戻る
ホテル
夏期は観光客が集中しますが、ホテル(朝食付)や貸しアパート(部屋貸しのみで朝食なし)が多いため宿泊場所が全くないことは考えられません。ただしイアの町は小さいので当日の夕方になって探す場合には他の町に泊まることになるかもしれません。
またイアの町の場合ホテルの善し悪しの大部分はその部屋の眺望にかかっていると言ってもいいでしょう。これは現地で確認するしか方法はないので、とりあえず行ってから納得する部屋を探すのも一案です。
特におすすめするのはトラディショナルペンションという伝統建築法で建てられた宿です。洞窟住居風に、かまぼこ型に崖を掘り進んで作った作りで、昼は涼しく、夜は暖かく、なんと行っても玄関先は最高のテラスになっています。
春・秋は開業しているホテルはわずかですが、すいているのでゆっくり見て回ることができるでしょう。
冬期はほとんどのホテル、レストランが閉鎖されるので一番旅行が困難な季節です。行かれる方はまず開業しているホテルを確保することをおすすめします。
宿の数が多いので宿泊料金は自分の予算に応じて自由に探すことが出来ます。
戻る
ことば
一般的に通用するのはギリシア語のみです。ただし、ホテル、レストラン、空港など観光に携わる人は英語を理解しますので、とりあえず英語のみで旅行することは可能です。ただしギリシア文字は知っていた方が何かと便利でしょう。
タクシー運転手や小さなホテル、レストランなどではギリシア語しか通じません。ただしギリシアの庶民的なレストランでは厨房に入って品定めをすることはルール違反ではないので、注文に困ることはありません。また学生さんは日本人と同じくある程度英語を理解する人が多いようです。
戻る
ここで紹介しなかったサントリーニ島の見どころ
島の中心地フィラの町、火山島のネア・カメニ、バレア・カメニ、ビーチのカマリ、ペリッサ、紀元前の古代ティラ遺跡などは欠かすことの出来ないポイントです。他にも小さな美しい町やビーチがいくつもあります。
このページでもフィラ周辺については今後紹介をする予定です。
戻る
参考書籍
サントリーニ島については国内でも数多くの書籍が発行されていると思います。気がついたものを何点かご紹介いたします。
「JTBキャンブックス エーゲ海だより」
日本交通公社 1700円 1995年5月1日初版発行
大きめのカラー写真をふんだんに使っており、また比較的詳しい解説があります。特に他のガイド等に比べ写真が秀逸で、写真集としても見ることができるほどです。
「エーゲ海・キクラデスの光と影」
建築資料研究社 4800円 1990年2月1日第1刷発行
ミコノス島、サントトリーニ島を中心としたこの地域の歴史、文化、風俗、建築物等について深く掘り下げた学術書です。イアの町の建築様式についてもかなりの量の記述が見られます。芝浦工大建築工学科の畑 聰一氏による著作です。A4版でカラー写真が多用されているので、たんに見て楽しむことも十分にできます。
「ハンディ・ガイド17 ギリシア・エーゲ海」
近畿日本ツーリスト社 1200円 1992年3月25日初版発行
イアについての項目があるので、一般的なガイドブックとしては比較的詳しい方ではないかと思います。
戻る
page 1
page 2
page 3
page 4
page 5
page 6
greece
index
(home)
countries
(link)
back number
このページはネットスケープ2.0以上、64K色以上、ウィンドウサイズ800×600ピクセルでご覧になることを推奨いたします。
ウィンドウ幅が800×600以上の方はやや横に間延びした感じになりますが、特に問題ありません。表示幅を狭くすると見やすくなります。640×480の方はスクロールすれば見られます。
また表示速度を上げるため画像ファイル(JEPG)の圧縮率を高めに設定してあり、多少お見苦しい再生状態になっていることをご了承下さい。
写真は全て個人的なスナップばかりですが、無断借用でないことを明らかにするだけのためにあえて著作権表示をしました。