
テラスレストラン「レ・ランパーツ」のバーコーナー
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昼食時には、シェーブル・ドールでは3つのレストランの全てが開いている。余裕をもって到着し、ランチを戴いてから午後をのんびり過ごしたい。
テラスレストラン「レ・ランパーツ(Les Remparts)」の料理長は、ミシュラン二つ星を持つメインレストランのシェフ、フィリップ・ラベなので、そのエッセンスを受け継いだ食事が、他に類を見ないほどの眺望を誇るテラスで食事ができる。
12時30分〜14時(4月後半〜10月前半)の間だけのオープンなので、ぜひ予約を入れて訪れてみたい。

客席からも、フェラ岬にかけて素晴らしい展望が広がる
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テラスの入口側部分はバーコーナーになっており、食事前に軽く食前酒をたしなんだり、食事時間外の喫茶にも利用できるようだ。ただし海側の席数は多くない。
その奥の細長いスペースは食事用で、多くの席が海に沿って設けられている。
その一つに案内され、食前酒を手にくつろぐ。金の山羊が繊細なタッチで描かれたテーブルの上の飾り皿に期待が高まる。

雰囲気は硬くないので、軽いお洒落で大丈夫
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飾り皿はかわいい山羊のデザイン
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食前酒は良く冷えたドン・ペリニョンが定番
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ロゼのピンクも美しい
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4品の軽いランチコースは、アミューズブッシュ(パイ風前菜)、魚料理、チーズ、デザートで構成され、自家製のパンがつく。
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アミューズブッシュは質・量とも、ちょっとした料理のよう
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ホテルのブーランジェリー製のパンは、いくつでも食べられるおいしさ
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アミューズブッシュは、薄焼きパイの上に、トマト、パプリカ、レタス(?)ポテト、などをあしらい、黒オリーブ、ヤギのチーズ、バジルをトッピングした、食べ応えある一品。やや酸味のある煮汁のソースが、パイと野菜を調和させ、それぞれの食感を感じながらも一体感のあるおいしさを引き出している。
ホテルのブーランジェリー(自家製パン工房)が焼き上げるパンは、極めて上質で、フランスらしいパリッとした皮とふっくらした中身のボディ、それに穀物をトッピングしてパンごとに特徴ある香ばしさを与えている。最高級のエクストラバージン・オリーブオイルをつけて、いくらでも食べられてしまう。

フィリップ・ラベの手によるメイン料理はミシュラン二つ星クラス
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メインの魚料理は、懐石料理のように美しい、ミシュラン二つ星のメインレストランと同レベルの一皿だ。3種類の魚の小さな切身を軽くあぶって色鮮やかなラタトゥイユ風のソースを乗せ、さっぱりとした濃い味のムース(魚系のソースか?)を横に添えてお好みに応じて添えられるようにしている。付け合せは緑の手打ちパスタのジェノバ風。見て楽しみ、頭で楽しみ、口で楽しむ、この一皿は。テラスの素晴らしさに引けを取らない。

シンプルな盛り付けの山羊のチーズ、シェーブルは絶品
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続いて出されるチーズは、それ自体、料理と思えるほどの立派な皿だ。オリーブオイルとコショウを振ったヤギのチーズ(シェーブル)はコクと酸味のバランスが何とも言えず素晴らしく、直径数センチ、厚み3センチほどの分量がある。添えられたチーズの効いたグリッシーニと、グリーンサラダは見た目も味も美しい。
最後のデザートは、豊かな自然に恵まれたコートダジュールらしい一品で印象に残った。それは甘いお菓子ではなく、フルーツと野菜をベースにした料理と言ってもよいようなものだった。

最後のデザートまで、美とセンスに溢れている
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薄黄緑の野菜(アスパラガス?)のゼリー寄せのテリーヌを、イチゴを散らした赤くて甘いストロベリーソースで囲み、イチゴのソルベが乗せられている。
料理自体の技術や斬新さに驚くべきものがあるわけではない。しかし、カラフルで伸びやかなホテルを取り囲む自然をそのまま凝縮したような明るさ、美しさ、華やかさに、納得のいく料理だった。
観光客が多い土地柄だけに、リッチなバカンス客から一般観光客まで、多様な客が訪れている。それだけに時には洗練されたホテルマンが客と息が合わず戸惑う場面も見られる。雰囲気やサービスに特段の期待はできないのは止むを得ないことか。
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